近年、高エネルギー蓄積デバイスとしてリチウムイオン蓄電池システムが注目されている。その性能を引き出し、安全に運用するためには、温度特性や劣化状態をリアルタイムに把握し、常に効果的なバッテリーマネジメントシステムを構築することが必須である。
本セミナーでは、リチウムイオン蓄電池のBMSに用いられる実践的技術と実装方法を解説する。内容は、コールコールプロット等の蓄電池特性から等価回路へのモデル化、カルマンフィルタ (EKF) の基本原理と残量計実装、劣化診断のための逐次最小二乗法 (RLS) の基本原理と実装方法を含み実践面に重点化します。アルゴリズムの詳細を理解するため、数式やMATLABを使ったデモにより実装と高精度化方法を詳しく解説する。
さらに、最近の話題として、組込みLSIを用いた状態測定、データサイエンスを用いた電池のモデル化、制御、予測技術等も紹介する。
- リチウムイオン蓄電池の動作原理とBMSの役割
- 蓄電池のモデル化方法
- 蓄電池の電気的特性、等価回路表現
- 蓄電池の特性測定
- ナイキスト図から等価回路モデルの抽出
- 等価回路パラメータの温度補正
- 等価回路以外の蓄電池モデル化技術
- 高精度残量計
- 残量推定に用いられる方法 (電流積算とカルマンフィルタ)
- 測定誤差要因の整理
- カルマンフィルタ (EKF) の基本アルゴリズム
- 蓄電池モデルの表現と実装
- EKFを用いた残量計の実装 (デモ)
- 高精度化のテクニックと実装
- 蓄電池劣化による蓄電池モデル変動の推定
- 蓄電池の劣化現象とモデル化
- 内部抵抗と開放電圧の劣化変動
- 逐次最小二乗法 (RLS) の基本アルゴリズム
- RLSによる等価回路パラメータ抽出
- RLSの高精度化
- 劣化補正機能付き残量計の構築
- BMSに関する最近の話題
- 組込みLSIを使った内部抵抗測定
- データサイエンスによる劣化診断と寿命予測