本セミナーでは、植物由来プラスチックの基礎から解説し、バイオマス原料の精製、バイオプラスチックの製造、新規用途展開、開発状況・展望について詳解いたします。
~植物由来原料のプラスチックの種類とそのバイオマス炭素含有率の測定方法~
(2011年12月20日 10:30~12:00)
二酸化炭素排出量の削減を目指し、石油由来から、バイオマス由来の原料から生産されたプラスチックが市場で見られるようになってきた。 本講座では、バイオマス由来のプラスチックの種類とその特徴、市場動向を概説する。 また、石油由来であるか、バイオマス由来であるかを判別する方法として、バイオマスにのみに、含まれる放射性炭素14濃度測定によるバイオマス炭素含有率の測定方法を説明する。 これらの測定結果をもちいたマーク認証制度、これらの評価法のISO国際標準規格化の状況についても説明する。
(2011年12月20日 12:40~14:10)
森林は、壮大な年月をかけ微少分子 (炭酸ガスと水) が巨大複合体を経て再び分子へと転換される一つの流れの場である。 生態系を攪乱しない持続的な社会の構築には、森林資源を『エネルギー』『機能』『時間』の因子で動的に理解し、それを材料・原料の持続的な流れとして具現化する新しい社会システムが必須となる。 植物系分子の循環設計を解読するとともに、その循環型材料への展開について考える。
(2011年12月20日 14:20~15:50)
近年、ポリ乳酸など植物由来樹脂の新規用途開発が盛んに検討されているが、エンジニアリングプラスチック分野への使用にはまだ解決すべき課題も多い。 本講演では、既に50年前に工業化が確立され、かつ自動車分野で長い実績を持つ唯一の植物由来エンプラである、ポリアミド11の歴史と特長を述べた後、ポリアミド11およびポリアミド11系エラストマー、さらにはポリアミド11を核とした新規ポリマー材料の用途事例および今後の技術動向、市場動向を紹介する。
~植物由来原料からの発酵又は化学合成によるコハク酸の製造とその現状と周辺技術~
(2011年12月20日 16:00~17:00)
コハク酸は、炭素数が4個の有機酸であり、多くの化成品の原料となっている。 そのため、バイオリファイナリー産業を構築するにあたり、バイオマス原料であるセルロースやでんぷんから誘導すべき重要化合物として認識されている。 現在のコハク酸は、食品添加物としての製品も、石油由来の化成品である。 このコハク酸の現状を概説し、バイオマス原料、セルロース、でんぷん、糖からの生産方法を説明する。 発酵によるコハク酸の製造が世界各地で始まろうとしている。 発酵液からのコハク酸の分離、重合反応への応用や、発酵ではなくセルロース原料からのフルフラールを経由した化学合成によるコハク酸の合成研究を紹介する。 これらの応用例としてポリエステルの重合例を紹介する。