第1部
SiCパワーモジュールにおける耐熱性高分子材料への要求特性と耐熱化アプローチ ~パワーエレクトロニクス動向をふまえて~
(2011年12月22日 10:30~12:00)
炭酸ガス削減技術のなかでパワー半導体が活躍する分野は、45%を占めており、まさにエネルギー革命のキーデバイスとなりつつある。
このような環境下、パワーデバイス市場は急成長しており、今後も大きな成長が見込まれている。
特に、パワー半導体市場の50%以上を占める自動車分野のパワーモジュールにフォーカスして、開発進展が著しいSiCパワー半導体実装に要求される耐熱性高分子材料の特性及びそのアプローチを紹介する。
- 低炭素社会とパワー半導体
- 低炭素時代に向けての二酸化炭素の排出量削減計画
- パワー半導体の果たす役割と市場の予測
- インバータの応用分野とカーエレクトロニクス
- パワーモジュールの開発動向
- デバイス、パワー密度、使用温度、冷却構造
- SiCデバイスとパワーモジュールの構造
- 高分子材料への要求性能
- 耐熱性、低熱膨張率エポキシ樹脂
- 多環芳香族によるスタッキング効果
- 架橋密度、ガラス転移温度、熱膨張率の関係
- 300℃超への挑戦
- ベンゾオキサジン変性ビスマレイミド樹脂
- 低温硬化型強靭性シアネートエステル樹脂
- パワーモジュール試作とプラットフォームの構築
第2部
SiCパワーデバイスに向けた高耐熱接合技術
(2011年12月22日 13:00~14:30)
高温環境に対応した接合技術として、有機材料を保護膜として被膜した銀ナノ粒子接合法 (耐熱性、放熱性に優れる) を発展させた、酸化銀粒子を用いた鉛フリー接合方法を開発し、その接合特性、接合機構を中心に紹介する。
本接合技術は、数マイクロメートルサイズの酸化銀粒子を接合材料として利用するもので、従来の鉛を主体としたはんだ材よりも約150℃低い200℃から250℃で半導体素子と基板を接合でき、かつ接合後は500℃を超える耐熱温度を有する。本技術はマイクロメートルサイズの酸化銀粒子を低温還元し、かつ接合プロセス中にナノメートルサイズの銀粒子を生成させ、さらに還元時の発熱反応を促進する酸化銀還元剤を新たに開発したもので、銀ナノ粒子接合の特性である高放熱・高耐熱を活かした高温環境に適した接合技術である。
また、高耐食化、及び他の酸化物系材料についても簡単に紹介する。
- 背景と目的
- 銀ナノ粒子接合法について
- 特徴
- 接合プロセスと接合機構
- 耐熱性、放熱性、及び接合信頼性
- マイクロメートルサイズ銀粒子接合法
- 特徴
- 接合プロセスと接合機構
- 銀ナノ粒子接合、マイクロメートルサイズ銀粒子接合の課題
- 酸化銀マイクロ粒子を用いたin-situ 銀ナノ粒子形成接合法
- 酸化銀粒子の還元温度
- 還元後の銀ナノ粒子形成機構
- 接合強度と接合機構
- 放熱性と信頼性評価
- 耐食性向上
- 耐食性向上へのアプローチ
- in-situ銀-他元素の合金化及びその機構
- 接合状態の特徴
- 耐食性、及び接合性評価
- 全体まとめ
第3部
高出力密度SiC電力変換器実現に向けた高温動作対応技術
(2011年12月22日 14:45~15:55)
現在の電力変換器は、Si物性による性能限界に迫っている。これを超えるため、優れた物性を有するSiC等ワイドギャップ半導体デバイスに注目が集まっている。特に、高パワー密度電力変換器実現には、高温動作が重要である。
本発表では、前半で電力の重要性と課題について示し、後半では、試作した全SiCインバーターを中心に、
課題の克服に向けて開発した、高温動作対応技術について述べる。
- 背景:電力の重要性と解決すべき問題
- パワーエレクトロニクスの対象範囲
- 電力変換器の高出力密度化
- Siパワーデバイスの適応範囲
- 電力変換器の体積と小型化に向けた戦略
- ワイドギャップ半導体の特徴
- SiC、GaNの物性
- 600V級素子、及び、3300V級素子の材料物性による比較
- 高温動作の重要性
- 作製・評価技術
- 冷却器設計技術
- パワー密度最大となる接合温度の検討
- 冷却器最適設計
- ダイボンド技術
- AuGeはんだによる接合技術
- シェア強度の高温放置時間依存性
- 界面付近の劣化評価
- 拡散バリア技術
- AuGeはんだ界面における、金属間化合物の成長
- 拡散バリア:W拡散バリア、TaN拡散バリア
- モジュール化技術
- 全SiCインバーターモジュールの設計・試作
- 200℃に於けるスイッチング特性
- 材料シミュレーション技術
- 高温環境下で複合材料に発生する変形/応力
- 有限要素法を用いた温度変化に伴う材料変形シミュレーション