折紙工学は、1) 工学的側面、2) 芸術的側面、3) ゲーム的側面、がありその範囲は広いが、1) 工学的側面を取り上げる。この中も、1) 折紙設計、2) 軽くて強い折紙構造の設計製造、3) 展開収縮できる折紙構造の設計製造、と大別できる。ここではこれら三つの課題それぞれで最先端の技術を披露する。折紙構造は、軽くて強い、展開収縮できるという産業的には素晴らしいポテンシャルを有するものの、その大量生産方式の開発が困難であり、コストに対し比較的緩やかな宇宙産業以外は未だ十分その実力が発揮されていない。 この打破には高度な計算科学や製造技術を要するという意味で折紙工学は総合工学とも言える。筆者の周辺で最近多くの関連技術が開発され一気に産業展開できる準備が整いつつある。これらの技術を共通のものとしてさらに磨きをかける場を持ちたい。
- はじめに
- 折り紙は尊い芸術でありお金儲けするものではないと考えていた日本人。その日本人の心に火が付く情報が。英国のエンジニアが第2次大戦中、日本の七夕飾りをヒントにハニカムの大量生産技術を開発。ハニカムは数兆円産業に。これは恥ずべきことと、天才野島武敏氏が2002年に「折紙工学」を提唱。筆者が中心となって2002年以来、折紙工学を推進。以来20年近くたった今、折紙工学の三つの要素、1) 折紙設計、2) 軽くて強い折紙構造の設計製造、3) 展開収縮できる折紙構造の設計製造、それぞれで「ハニカム以上の産業創出」を目指したがその現状と課題を述べる。
- 折紙工学の産業化を阻む4つの課題
- 課題克服のキーポイント
- 折紙設計
- 折紙の数理を用いたデザイン
- バイオミメティクス折り紙の設計図
- 折紙設計ソフトで作られる、折紙ロボットで容易に折れない展開図
- 基本となる円筒折り展開図
- 円筒折り展開図から様々な構造の折畳展開図を作る等角写像技術
- 折紙衣服に用いられた円形膜折り紙
- リバースエンジニアリング技術を用いた究極の折紙設計システムOri3D
- 折紙ロボットでも折れる展開図を生成するOri3D
- 積層型3次元プリンターを凌駕することを目指す折紙式3次元プリンター
- 写真画像から3次元データ生成
- 3次元データから山折り、谷折り、糊代付き2次元展開図生成
- 折紙ロボットで2次元展開図から構造の再構築
- オムツ等肌着への応用
- 折紙設計はハニカム以上の産業を齎したか、齎し得るのかのディスカッション
- 軽くて強い折紙構造の設計製造
- 曲面ハニカムとその設計法
- 三角錐の連なったオクテットトラス型コア
- オクテットトラス型コアの強度・剛性・振動特性
- 金属製オクテットトラス型コアの成形法
- 金属製オクテットトラス型コアの産業への応用
- 大量生産方式が適った折紙工法
- 小型EVも安価に造ってしまう折紙工法
- 材料によらず同 – の工法となる折紙工法
- 折紙工法で得られる夢の輸送箱
- コア高さとその遮音・吸音特性
- 軽くて強い折紙構造の設計製造 はハニカム以上の産業を齎したか、齎し得るのかのディスカッション
- 展開収縮できる折紙構造の設計製造
- バイオミメティクス折り紙① – 昆虫に学ぶ -
- バイオミメティクス折り紙② – 植物に学ぶ -
- 宇宙産業への応用
- 折り紙は優秀なエネルギー吸収材
- 高い機能と安価な製造が可能、反転捩り折紙構造体とその製造法
- 高い機能と安価な製造が可能、多角形折紙構造体とその製造法
- 自動車エネルギー吸収構造への応用
- 折り畳みペットボトルへの応用
- 防振器への応用
- 厚板箱への応用
- 折り畳み式ヘルメットへの応用
- 建築産業への応用
- 医療への応用
- 展開収縮折紙構造の設計製造 はハニカム以上の産業を齎したか、齎し得るのかのディスカッション
- 折紙工学の折畳扇への展開
- 日本が誇る折畳扇の魅力
- 折畳扇の数理
- 折畳扇の数理から創造される新産業
- 折紙工学の将来
- 計測技術の著しい発展により科学の興味は宇宙のような広大なものから、細胞など超ミクロな世界に広がっている。
ここで唯一役立つのは自己組織化製造法であり折紙工学が未来を切り開く
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