2014年10月7日に青色LEDの開発で、赤崎勇教授、天野浩教授、中村修二教授の三氏がノーベル物理学賞を受賞し、日本中の関心を集めた。LEDの最も重要な用途は白色LEDの光源であり、受賞理由にも記されている。そのため、白色LED用蛍光体はバブルとも言うべき注目材料となっているが、その市場そして開発動向は従来の蛍光体ビジネスとは違いがある。白色LED用蛍光体の発光原理は、短波長の光で励起して長波長の光を発する光ルミネセンスという現象であり、過去に主流であった高エネルギー電子線で励起するブラウン管テレビ用蛍光体とはその設計思想が大きく異なる。
本講演では、LED用蛍光体を中心とする光ルミネセンス用蛍光体の開発における現状での問題点、それを解決するための技術動向および今後の展望について各メーカの実用材料および窒化物、フッ化物、酸化物蛍光体などの新規蛍光体も含めて具体的に解説する。LED蛍光体以外の新規用途である太陽電池での波長変換膜や植物工場用蛍光体についても述べる。内容としては、発光波長の制御、輝度向上への多くの研究者の取り組み、そして経営上最も重要である現在および将来の蛍光体産業の市場成長性についても解説する。
- 蛍光体の基礎知識と分子設計の手法
- 蛍光体設計に必要な結晶学および固体化学の基礎知識
- 蛍光体の歴史
- 世界最古の蛍光体は日本人が開発した
- 光ルミネセンスに始まり、光ルミネセンスに還る
- 明るく美しい蛍光体とは
- 蛍光体における発光スペクトルの形 バックライトは狭く、照明は広い方が良いは間違い
- DOEの勧告に基づきナローバンド (狭帯域発光) 化がブーム!すべての蛍光体がガラガラポン?
- 白色LED中の青色光は本当に危険なの?
- 光ルミネセンスにおける蛍光体母体の選択
- ナローギャップの半導体とワイドギャップの絶縁体
- LED用蛍光体の母体に共通する特徴
- 窒化物、フッ化物、酸化物
- 量子ドットと局在中心発光の違い
- ペロブスカイト量子ドットは従来の量子ドットと何が違うか
- 光ルミネセンスにおける発光イオンの選択
- 希土類の発光 d-f遷移とf-f遷移
- Eu2+やCe3+を青色励起で黄色、赤色に発光させるために必要な分子設計 対称性制御の提案
- 遷移金属の中でMn4+が用いられる理由
- 量子ドットと局在中心発光の違い
- バンド理論に基づく新しい熱消光理論、次世代のレーザー励起用蛍光体で重要な考え方
- 実用蛍光体に関する評価
- 酸化物蛍光体
- 黄色 (Y,Gd) 3 (Al,Ga) 5O12:Ce
- 黄色 (Ba,Sr) 2SiO4:Eu
- 緑色 Ca3Sc2Si3O12:Ce
- 緑色 CaSc2O4:Ce
- 黄色 Li2SrSiO4:Eu
- (酸) 窒化物蛍光体
- 赤色 (Ca,Sr) AlSiN3:Eu
- 赤色 Sr2Si5N8:Eu
- 黄色 α-Caサイアロン:Eu
- 黄色 La3Si6N11:Ce
- 青緑-黄色 (Ba,Sr,Ca) Si2O2N2:Eu
- 緑色 β-サイアロン:Eu
- 赤色 Sr[Li2Al2O2N2]:Eu
- フッ化物蛍光体
- 蛍光体の市場と開発動向
- LED用蛍光体のマーケットの見積もりは、なぜ大きくバラついているのか?
- 世界における蛍光体企業および研究者
- 日亜化学
- 三菱ケミカル
- 東京化学研究所
- 根本特殊化学
- デンカ
- Daejoo Electronic Materials (韓国)
- Force4 (韓国)
- LWB
- Intematix
- 北京有色金属研究総院
- 北京宇極科技発展有限会社
- 中国のBig5
- あまり知られていない台湾の蛍光体メーカ
- サムスンの蛍光体内製中止と蛍光体事業を引き継いだ会社
- その他の最新情報
- 注目される新しい分野
- 新規合成法による世界で最も明るい蓄光蛍光体の実現
- レーザー励起 (レーザー照明、レーザープロジェクタ) に向けての単結晶や焼結体の利用
- Phosphor in Glass
- セラミックスプレート Cold sintering等の焼成技術の進歩
- 単結晶
- 太陽電池用波長変換膜
- 太陽電池用波長変換膜がなぜ必要か?
- 蛍光ナノ粒子の必要性とコストの要求
- 市場は予測できるか?
- 太陽電池用波長変換膜およびマイクロLEDに適した低温合成法の提案
Zoomを使ったライブ配信対応セミナーの留意点
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印刷物は後日お手元に届くことになります。
複数名受講割引
- 2名様以上でお申込みの場合、1名あたり 22,500円(税別) / 24,750円(税込) で受講いただけます。
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アカデミー割引
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