第1部. 医療現場のコミュニケーション向上を支援するAIチャットボット構築
(2020年10月15日 10:00〜12:00)
コロナ禍において「何かあればまずは病院に行く」という行動を取ることが難しくなってきている。そのような人々の不安は医療機関へのやや行き過ぎた問い合わせとなり、医療従事者の貴重な労働時間を削り、病院の体力をじわじわと奪ってゆく。本講演では、「問い合わせる」という行為を徹底的に分析し自然言語を取り扱うことのポイントをご紹介するとともに、チャットボットを利用した問診などの適切なスクリーニングや患者状態の来院前把握を積極的に行うことで医療従事者の負担を減らすことと受診者の安心感を両立する仕組みをいかにして構築するかを解説する。
- 病院における初診外来患者受付の流れと問題点
- 現状の医療の問題 (医療費の増大・医療被曝、病院経営の圧迫)
- 医療におけるコミュニケーションとは
- コミュニケーションエラーが発生する仕組み
- AIチャットボットによる医療の抱える部分的問題への解決アプローチ
- AIチャットボットが抱える課題と対処方法
- AIチャットボットのユーザーインターフェース
- ユーザーインターフェースに対する課題
- 問診におけるコミュニケーションデザイン
- チャットボットを使った問診スクリーニング手法
- 問診におけるコミュニケーションの難しさとで懸念されること
- コロナ禍で求められる高度なコミュニケーションの考察
- 一般的SNSツールを利用した問診チャットボットの構築事例
- 医療系チャットボット構築のポイントまとめ
- 質疑応答
第2部. 問診AI開発におけるデータモデル設計
(2020年10月15日 12:45〜14:45)
問診が一人前にできれば医師として一人前であると評価されるほど、疎漏無く問診できるにはそれなりの医学知識と経験を要する。この問診について、近年進歩した機械学習や自然言語処理を応用したAIを活用していくことには自然な考えであり、多大な期待が寄せられている。
機械学習のためには質の良いデータを大量に用意する必要があり、質の高いデータを収集するためには適切なデータモデル設計が必要である。本講演では問診AIを開発するための鍵となる問診データの構造化、モデル化とアノテーションについて国内外の事例を含めて概説する。
さらに、新型コロナウイルス感染症対策として開発された問診票のデータモデル設計と事例と症例の見落としを防ぐための臨床ガイドラインを電子的に設計した事例についても紹介する。
- データモデル設計
- 国際的データ標準規格
- 症状に関連するデータモデルの設計
- 病歴に関連するデータモデルの設計及び開発
- ガイドライン定義言語の状況と実装の状況
- 新型コロナウイルス感染症のスクリーニングのための問診表設計
- 新型コロナウイルス感染症のフォローアップのための問診表設計
- 新型コロナウイルス感染症の見落としを防ぐための電子化ガイドライン定義
- 自然言語処理と機械学習
- 臨床データモデルの設計開発一般
第3部. 緊急度を判定するAI救急相談の現状と今後の発展性
(2020年10月15日 15:00〜17:00)
我々は世界で今まで報告されていないAIによる市民に対する救急相談システムを産官学で作り上げた。同システムは、AIを活用したチャットポット形式により、医療施設への緊急度が判定される。AI救急相談システムの進歩は、切迫した救急医療の負担を軽減できるツールとなる可能性があるだろう。本講演では、チャットボットシステムによりAIを用いた医療施設受診の緊急度を実際にどの程度可能なのかについて説明したい。今後このシステムの利用は、特性を理解したうえで議論が必要であろう。少なくとも、救急電話相談「#7119」にとって代わるものではなくそれぞれの良い部分を補完できるものとなる位置付けが自然であろう。さらには緊急度評価のみならず、地域における救急ニーズの推測、流行性疾患の早期予測、AI救急相談を含めた119番情報に続く救急車内情報を搬送された病院で一括管理できる可能性も開けてくる。本システムの利用による最終目標は、救急医療環境の改善と使用者の満足になるのかもしれない。
- 埼玉県における救急医療の現状
- 埼玉県における「#7119」による救急電話相談を含めた救急相談体制の強化
- あなたならば突然の病気やけがで救急車をどういった判断で呼びますか?
- AI救急相談はもしかして若い人にはマッチしている?
- AI救急相談を円滑に運営するためのコンセプト
- AI救急相談事業前トライアルでの修正点
- AI救急相談のAI部分とは?
- AI救急相談における症状別テーブルとは?
- AI救急相談における開始発話とは?
- AI救急相談を実際の例をとってそのプロセスを説明する
- AI救急談を開始して1年間の実績と特徴
- AI救急相談は、産官学合同でさらに進化を目指す
- AI救急相談と救急電話相談との関係を今後どのように保っていくのか
- 質疑応答
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