銅の抗菌、抗ウイルス作用のメカニズム、評価と感染対策への応用

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本セミナーでは、銅が持つ抗菌、抗ウイルス効果等の特性について解説し、医療現場でのニーズ、新型コロナウイルスなど感染症リスク低減のための新材料開発へのヒントを紹介いたします。

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プログラム

第1部 銅化合物光触媒の抗菌・抗ウイルス効果とその評価

(2020年9月29日 10:30〜12:10)

 銅化合物や銀化合物のイオンだけではなく、水に不溶の固体金属化合物の抗ウイルス活性とそのメカニズムについて紹介する。次に、銅化合物や銀化合物だけではなく、他の金属酸化物、たとえば酸化亜鉛や酸化モリブデンなどの抗ウイルス活性についても述べ、それら金属化合物の抗ウイルス活性の知見から生まれた新規の可視光応答型光触媒材料の抗ウイルス活性についても紹介する。また、JISやISOに従った評価法での抗菌・抗ウイルス活性だけではなく、実環境での真の抗菌・抗ウイルス活性を知るための評価法についても紹介し、新型コロナウイルスなど感染症リスク低減のための材料開発の一助となる講座としたい。

  1. 抗菌・抗ウイルス活性評価法
    1. 光触媒材料の抗菌・抗ウイルス活性評価法
    2. 光触媒材料以外の抗菌・抗ウイルス活性評価法
    3. 実環境を模した抗菌・抗ウイルス活性評価法
  2. 金属化合物の抗菌・抗ウイルス活性
    1. 銅化合物、銀化合物の抗菌・抗ウイルス活性
    2. 銅化合物、銀化合物の抗ウイルス活性のメカニズム
    3. 固体金属酸化物の抗ウイルス活性
    4. 金属化合物の抗ウイルス活性の利点と弱点
  3. 可視光応答型光触媒材料の抗菌・抗ウイルス活性
    1. 金属酸化物の抗ウイルス活性を活かした可視光光触媒の作製
    2. 銅担持酸化チタンの可視光下での抗菌・抗ウイルス活性
    3. 銅担持酸化チタンでの実環境下での抗菌活性
    4. モリブデン担持酸化チタンの可視光下での抗ウイルス活性

第2部 銅の抗菌効果を有する透明フィルムの開発と感染対策への応用

(2020年9月29日 13:00〜14:40)

 我々は名古屋市立大学と株式会社UACJの共同研究として、銅の抗菌効果を有する透明フィルムを開発しました。銅は銀と同様に高い抗菌作用を有していることから、古くから生活用品や工業製品にも使用されてきましたが、医療現場ではその抗菌効果はまだほとんど知られておりません。一方、医療現場では多剤耐性菌やウイルスによる院内感染が大きな問題となっており、抗菌剤に頼らない感染対策には大きなニーズがあります。今回の講演では、銅の透明フィルム開発の経緯とともに医療現場の現状と抗菌対策へのニーズをお伝えします。

  1. 銅の抗菌フィルム開発の背景
  2. 医療現場の現状とニーズ
  3. 銅の抗菌作用と医療現場への応用
  4. 銅の透明フィルムの可能性

第3部 銅及び銅合金の抗菌・抗ウイルス特性と医療環境整備への活用

(2020年9月29日 14:50〜16:30)

 銅の一般的な特性として電気及び熱の良伝導性が挙げられるが、生命活動における役割や病原体に対する抗菌活性はあまり知られることはなかった。しかし、新型コロナウイルス感染症の大流行を契機に銅の抗菌性能に注目がにわかに集まってきている。本講座では、まず、代表的な遷移元素である銅が鉄の吸収代謝など生命活動で重要な役割をしていることや周期律表からみた銅の生物学的諸特性 (アレルゲン性、殺菌性、発がん性) について紹介をする。次いで、銅及び銅合金の金属表面でおこる殺菌メカニズムとこの殺菌特性 (選択毒性) がどのような病原体や生物に及ぶかを概説する。そして最後に、銅及び銅合金を衛生補完材料として医療環境で使用した経験例を紹介し、今後の問題点を交えながら総括を行う。

  1. 生命と微量金属元素
  2. 腸管からの銅と鉄の吸収
  3. 銅の殺菌特性はどのようにして生ずるか
  4. 衛生補完材料としての銅及び銅合金の基礎
  5. 医療環境における銅合金製品の性能評価
  6. 総括

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