スマートフォンやタブレット、電子書籍やインターネットTVなどマルチ・デバイス時代を迎え、どこからでも、どんな端末やOSを使ってもアクセスできるウェブ・アプリが世界的に注目されている。すでにFinancial TimesやBoston Globeなどマス・メディア、Salesforce.comやSAPのようなエンタープライズ・ソフト、インターネット動画配信のNetflix、プレゼンテーション・ソフトのSlideShare、ゲーム・メーカーのZynga、そして、SNSのFacebookなどが続々とウェブ・アプリを支持している。 彼らコンテンツ産業の富の源泉は、今やコンテンツその物よりも、それらをユーザーに送り届け、便利に使ってもらうためのクラウド型システムへと移動している。その鍵を握る技術がHTML5を中心とするウェブ・アプリだ。そこにはコンテンツ・プロバイダーのみならず通信キャリア、端末メーカー、そしてインターネット企業など現代の機関産業が熱い視線を注いでいる。 本講演では、ウェブ・アプリの技術的優位性やネイティブ・アプリとの違いを解説し、ウェブ・アプリが広範囲の業界に及ぼすインパクトを検証する。併せて、新たなコンテンツ配信の手法など、ウェブ・アプリを巡るビジネス・モデルも展望する。また、モバイルを軸に、世界的キープレイヤーが凌ぎを削る囲い込み競争の行方と、2012年の業界勢力図を展望する。