洗浄バリデーションは、査察において最も指摘を受ける項目の一つである。それは、洗浄バリデーションの結果が交叉汚染につながり、さらに消費者の安全性にまで係る問題だからである。したがって、規制当局が求める要件はもちろん、自社の製造環境を踏まえた洗浄バリデーションに対する取り組みが強く求められている。特に、近年残留限度値設定そのものに対して新たな問題提起となる医薬品回収事例も発生し、それまでの物理化学的な視点からではなく、医薬品を服用する患者の視点から残留物の毒性に基づいた限度値設定が求められるようになった。さらに現場では、ホールドタイムの設定、洗浄後の日常確認など、多くの実務的な課題に対する対応が求められている。
本セミナーでは、洗浄バリデーションに対して、それを担当する担当者の視線で、各国の規制が求める洗浄バリデーションに係る基礎的な要件から、リスクに基づいた取り組み、洗浄バリデーションの結果を左右する残留限度値設定上の問題点やその対応策、クリーンホールドタイム・ダーティホールドタイムの設定、そして日常の目視確認に至る、日々直面する課題について解説する。また、規制当局の査察では、何が確認されるのか、FDAをはじめとする世界各国・PMDA、そしてベンダーオデットの経験を基に紹介する。さらに、これまで実施したセミナーにおける参加者による現場の生の質問に対する回答を紹介する。
- はじめに
- 製品回収が突き付けた洗浄バリデーションに対する問題提起とは?
- Quality Cultureに基づく洗浄バリデーションへの新たな取り組み
- 日米欧規制文書が求めている洗浄バリデーションにおける検討項目とは?
- JGMPにおける洗浄バリデーション
- EU GMPにおける洗浄バリデーション
- cGMPにおける洗浄バリデーション
- ASTM Internationalのガイド (E3106 – 18)
- バリデーションは大変な活動! – バリデーションの本質を理解しよう! -
- GMPに加えてなぜバリデーションが必要となったのか
- 1987年のバリデーションガイドライン、そして2011年バリデーションガイダンス
- 再バリデーションは、なぜなくなったのか
- すべての取り組みは、リスクの理解から始まる
- 洗浄・洗浄バリデーションに係わるリスクとライフサイクルマネジメント
- 実務者担当者から見た洗浄バリデーションにおける10の課題
- GMPとValidationで必要となる文書と作成のポイント
- Master Plan
- SOP
- Protocol
- Report
- MBR
- Logbook
- 洗浄バリデーションに対する取り組みは、いつ開始されるのか
- 専用製造設備での洗浄バリデーション
- 洗浄バリデーションにおける評価対象と5つの残留物評
- 各種用具は?
- 分析に使う器具は?
- 壁や床は?
- その時の限度値とは?
- 洗浄方法の特徴と採用時の留意点
- 製造現場ではワーストケースによる洗浄バリデーションが必須!
- ワーストケースをどう設定するか:具体的な事例を基にI
- 洗浄バリデーション実施で検討すべき4つのホールドタイム
- 残留限度値をどう設定するか?
- 物理化学的な設定から毒性に基づいた設定
- Fourmanらの方法の問題点 ~10ppm、0.1%、に科学的な根拠はあるか~
- 毒性に基づいた基準の設定 ~毒性データがない時、どうするか~
- 残留限度値の具体的な計算方法 ~実際に計算をしてみよう~
- どちらの計算結果を採用すべきか ~Fourmanらの結果か、毒性による結果か~
- 残留物を正しく評価するための3つの検討課題
- Swab法とRinse法の特徴と課題
- 回収率と分析法
- 目視確認の再現性をどう確保するか!
- 残留限度値評価のための目視確認と日常の洗浄後の目視確認
- キャンペーン生産の特徴とDHT・CHTの設定
- 査察では何を確認されるのか ~FDA査察を例に~
- 査察に向けた準備
- 査察手順
- 指摘事項の具体例
- 指摘を受けたらどうすべきか
- 参加者からの質問に対する回答
- 例: 計算した残留限度値が検出限界以下となった。どう対応すべきか など。
- まとめ