コロナ禍を経験し、人類はかつてないほど自身の意思決定能力を見つめ直すことが迫られている。我々の脳自身はアルゴリズムで合理的に物事を判断したり、行動したりするようにはできていない。勿論、進化のプロセスのなかで有利な点があったからこそ、非合理な意思決定プロセスは生き残ってきたのであろう。しかし、時に脳のそうした特性は個人と集団、経営者や政策立案者たちと会社・社会を誤った方向に導くことがある。つまり、誤った経営判断・非効率な組織運営・無効な政策実施である。
本講義では、アフターコロナの時代に需要が高まるであろう「意思決定」に注目し、経営者やリーダーが直面しがちな意思決定の各種バイアスを俯瞰し、脳科学・データサイエンス・テクノロジーがその解決に貢献できるかを考える。
- 人間の持つ意思決定のバイアス ~4つのイドラ
- あなたの意思決定器官の致命的欠陥
- バイアスは損をする実体験によって克服できるか
- 種族のイドラ ~人の脳にこびりついた幻想への固執
- 錯覚
- 自身への錯覚 ~自信過剰
- 知識への錯覚 ~分かっているつもりの危険
- Information Avoidance ~知りたいことしか知らない
- 感情
- 無意識のプライミング
- 意思決定は頭だけではない 身体化された認知
- 時間への錯覚 ~時間割引
- 洞窟のイドラ ~生きてきた分だけ垢がこびりついて世界をゆがめる
- 能動的なバイアスの獲得~確証バイアス
- なぜ銀行のシステム更改はうまくいかないのか ~サンクコスト
- 個人差と意思決定パフォーマンス
- 市場のイドラ 言葉~恐ろしく便利で あいまいな 凶器
- フレーミング
- なぜM&Aはうまくいかないのか
- なぜ結婚式の引き出物はあまりうれしくないのか ~ユーザー・顧客視点になることの難しさ
- なぜ人はネットでたたくのか ~不安や恐怖はウイルスより早く伝染する
- 劇場のイドラ ~権威があなたの目を曇らせる
- 権威によるバイアス
- 専門家の作るモデルを妄信していいのか
- 人は他人が真偽判断していると思うとフェイクニュースでも信じる
- よりよい意思決定のための処方箋
- 脳科学の観点から見たリーダーシップとは
- データドリブンな意思決定モデルの利用
- 専門知識をつける
- バイアスの補正
- アナロジカル推論
- 客観視する~自分の中の他人を使う
- テクノロジーを使う
- 毒を持って毒を制す ~行動を変えるためにバイアスを利用して行動を変える