回路素子や電気自動車、小型電子機器などの技術革新により、熱を効率的に伝搬できる高分子系組成物への期待が更に高まっています。しかし、熱伝導技術に関しては歴史が浅いために、社歴に関係なく技術蓄積の少ない企業がほとんどです。このことが、間違った理論や考え方までも取り入れてしまう背景となっています。
本講座では、熱伝導組成物開発に不可欠である材料選択から配合設計、混錬加工、熱物性測定に至るまでの全ての技術側面について、技術者の立場に視点を合わせて解説いたします。また、開発者として避けて通れない「量子論」や「組成物界面の問題」についても正面から取り上げ、レベルの高い講義を予定しています。
- 技術者にとっての必修知識
- 熱伝導性組成物設計の基本的な考え方
- 熱分野の基礎用語
- ポリマーが熱伝導を妨げる理由 および 量子論
- 多様な熱伝導率測定法の特徴と再現性
- キャリア材料の選択論
- キャリアの分類法と熱伝導への寄与効果
- 材料別 熱伝導のメカニズム
- 混ぜて良いキャリア・混ぜたらダメなキャリア
- セラミクス焼結学 基礎入門
- 熱伝導発現に不可欠な技術の本質
- 「パーコレーション説」と「Bruggeman 式」のウソ
- 目的によって異なる「最適ポリマー」と選択眼
- フォノン界面反射と界面歪の影響
- キャリア高充填を目指す混練技術
- マーケティングの視点で語る 製品の曲折と今後の方向性
- 熱伝導性組成物の歴史と気まぐれな市場
- 反面教師 「超高熱伝導性組成物」 全滅の理由
- 熱伝導性と耐熱性の相関を考える
- 静かな新潮流 “境界型熱伝導性組成物” 概説