近年、デジタル・ネットワーク技術と医療技術との融合・連携による「デジタル医療」が注目されており、画期的な技術が次々に生まれています。第四次医療革命「Medicine 4.0」が進展する中、例えば、飲めるセンサーを内蔵した医薬品が開発され、手術空間をサイバー化した「スマート治療室」などが開発されています。また、アプリで病気の治療を支援する「治療用アプリ」も積極的に開発されています。人工知能を利用したAI創薬も急速に進展しています。
このような新たな技術の開発に伴い、現在、特許出願も顕著に増加する傾向にあります。特許出願は、研究成果に基づいて利益を得るために必要不可欠であり、そのための特許戦略は、企業の将来性を左右する重要な課題です。とくに、広くて強い特許を取得することが重要であり、その結果、研究成果を事業活動に最大限に活かすことができます。
本講演では、このような観点から、「デジタル医療」に関する最新の技術動向と特許戦略の新たな視点について説明し、今後の課題と対応策について解説します。
- 最近のデジタル医療の事例と特許化の可能性
- 病気の治療を支援する「治療用アプリ」
- 病気の診断を支援する「画像認識技術」
- mRNAチップによる「リキッドバイオプシー」
- ビッグデータと学習モデルによる「AI創薬」
- IoTによる体内成分の「モニタリングシステム」
- 手術空間をサイバー化した「スマート治療室」
- ネットワーク技術を適用した「オンライン診療」
- デジタル医療に関する特許出願の動向
- 手術支援 (AI関連発明・ロボット技術) に関する特許出願
- 診断支援 (センサー技術) に関する特許出願
- 画像処理 (4K・3D) に関する特許出願
- クラウド (IoT関連発明) に関する特許出願
- ウエラブル (スマホ・タブレット) に関する特許出願
- AI創薬 (薬効探索、バイオマーカー探索) に関する特許出願
- デジタル医療に関する研究開発と特許出願の課題
- 特許出願のタイミングと注意点
- 研究開発に必要な特許調査の注意点
- 研究開発戦略と特許戦略の一体化
- 事業戦略と特許戦略の一体化 (実例を中心に)
- 最近の審査基準改訂への対応
- デジタル医療に関する特許実務の課題
- 広くて強い特許とは、どのような特許か (デジタル医療を中心に)
- どの程度の進歩性が要求されるのか (従来技術との比較データなど)
- どの程度の開示が要求されるのか (実験データ、薬理データなど)
- 特許審査・審判への対応方法
- 最近の裁判例 (特許訴訟) の傾向と対策
- デジタル医療に関する製薬企業の取組み
- 経営戦略に特許戦略を取り入れる動き
- オープンイノベーションとデジタル医療
- オープン&クローズ戦略とデジタル医療
- グローバル化に向けたデジタル医療の国際連携の動き
- デジタル医療の成功事例
- デジタル医療に関する登録特許と今後の課題
- 特許請求の範囲の最新事例
- 実施例は、どの程度、開示するべきか
- 進歩性や開示要件は、どの程度、要求されるのか
- 諸外国の登録特許の事例との比較 (米国、欧州、中国など)
- 事例を踏まえた最適な明細書・クレームの提案
- 登録特許の傾向から見た今後の課題