今、産業界で、画像の品質を高精度に計測する方法が求められております。これまでの、多くの人に評価値を求め、それらを集計していく主観的評価方法から、コンピュータに自動的に評価値を算出してもらう客観的評価法へとシフトして行っています。しかしながら、特に国内では、客観的評価方法の中のPSNRなどのごく限られた評価方法しか用いられていないことがよくありますが、現在では様々な方法が存在してします。本セミナーでは、その基礎から最先端の方法までを丁寧に解説し、どのような利用の仕方があるのかの理解を深めて頂くことを目的と致します。 画像品質の客観的評価方法は、元画像を利用するスタイルによって、リファレンス型、低減リファレンス型、ノンリファレンス型に区分できます。それぞれに特徴があり、それらを解説していきますが、講師のこれまでの音声、画像にまたがる研究の知見から、リファレンス型においては、組み合わせ法という高精度な結果が得られる方法の紹介も致します。また、1枚の画像のみが与えられたときに、1000人分の主観評価値と同じ値を算出する、ノンリファレンス型の畳み込みニューラルネットワーク法を講師の研究グループが研究開発したのですが、その内容をご紹介致します。デモもお見せする予定です。このような方法を用いると、大量の画像の中から、高品質な画像のみを自動抽出したり、画像の品質の順位付けを自動に行ったりすることができるようになります。 画像処理手法の研究やコーデックの開発などにも出力画像の評価が必要です。場合によると、特定の劣化パターンに対応する評価が必要かもしれません。比較的軽視されている感がある画像の品質評価について、講師の持っている知見をできる限りお伝えできればと考えております。