本講義ではベイズ推定を用いた信号処理について扱います。ベイズ推定とは確率モデルを用いて確率的に物事を推定する推論技術であり、「不確かさ」を確率という自然な形で扱うことができるため、ノイズ等の不確かさを扱う信号処理の分野とはとても相性が良い方法論であると言うことができます。しかしながら、このような確率モデルを利用する方法は必要となる前提知識が多く、初学者にとって参入障壁が多いことも事実です。 本講義では、ベイズ推定を用いた信号処理の方法について、その基礎から解説します。確率分布の基本的な部分から始め、確率モデルを用いた信号処理の基礎理論からその応用までの考え方を解説していきます。内容の性質上、数式が多数登場しますが、必要に応じで内容を補足していきます。