ここ数年、AI (Artificial Intelligence、人工知能) の応用が急速に進展しています。劇的な認識率の向上をもたらしAI分野を発展させたのが、脳の働きからヒントを得た学習手法である「Deep Learning (深層学習) 」のアルゴリズムであり、実装が容易なライブラリの登場により、画像認識を中心に利用例が報告されています。
かたや、製造現場ではAI外観検査 (画像識別) を中心に導入プロジェクトが立ち上がっていますが、狙った識別精度が得られず、導入に至らない例が聞かれます。学習データ (画像データ) の前処理 (データクレンジング) にかかる負担や良品・不良品データの不均衡などがおもな原因にあげられます。また、特にDeep Learningでは識別にかかる根拠がわかりにくく、品質保証の観点から導入を見送る現場も多いです。
そこで、本講座は中小製造現場で導入実績をあげた講師が、自身が手がけたAI外観検査の取り組みを紹介。活動事例を通じて、AI外観検査の導入プロジェクトの進め方から学習データの質と量の課題、学習を意識した画像情報の集め方、品質保証への対応までを解説します。さらには、導入後の運用を通じての精度向上のための考え方にも触れます。
- AI画像認識システムの動向と導入基礎
- 国内外のAI画像認識の最新事例
- AI画像認識システムのメリット
- AI画像認識システム導入時の留意点
- AI画像認識システムの実例
- パン識別システム「BakeryScan」
- BakeryScanのシステム構成
- BakeryScanの画像処理 (特徴量の抽出方法等)
- パン識別にかかる課題
- 現場導入時の課題
- BakeryScanのアルゴリズムの改良
- 不織布画像検査システム
- 不織布の異物検査
- 既存の画像検査システムの課題
- 不織布画像検査システムの構成と特徴
- 機械学習による異物判別
- 油圧部品の自動外観検査システム
- 外観検査の課題
- 正常・異常判別と機械学習による2クラス分類
- AIの限界とデータセットの不均衡
- ONE Class SVM (OCSVM) による良品学習
- OCSVMの課題とVAEによる異常検出
- 導入した外観検査システムとロボットのハンドカメラによる撮像
- VAEによる傷検出と誤検出の改善
- AI画像検査のはじめ方と機械学習を意識した画像データ収集
- AI画像検査の進め方
- 学習データの取集と用意
- 各種機械学習の検証
- 転移学習の活用
- 機械学習を意識した画像データ (学習データ) の収集
- 画像データの形式
- 学習データ (データセット) の準備
- 必要な学習データ
- 学習が難しい画像
- 撮影環境や条件のばらつき
- NG・OKの差異がわかりにくい
- キズなど一方向からでは見づらいなど
- 学習しやすい画像のための前処理
- 画像のノイズ / 歪みなどを取り除く
- 明るさや色合いを調整
- 輝度調整
- オブジェクトの輪郭を強調
- 領域抽出
- 学習データの量と質の課題
- 学習データの準備にかかる負荷
- 学習データはどの程度必要か
- 外観検査における学習データの質の課題 (データの不均衡)
- 学習データの拡張 (Data Augmentation)
- ラベル付き公開データセットと転移学習による対応
- 識別根拠の課題と品質保証への対応
- Deep Learningは内部分析が困難
- 説明可能性・解釈性 (XAI) に関する技術
- Deep Learningが着目しているところ (ネットワークの可視化)
- 品質保証への対応
- AI外観検査と目視検査との連携
- 段階的なAI外観検査の導入
- AI画像検査システム導入の進め方
- 要求定義の取りまとめ
- AI機能の選定
- 社内教育とプロジェクトの立ち上げ (産学連携助成の活用等)
- 学習データの準備
- 概念実証 (PoC)
- ラインでの実運用
- 運用による精度向上