パワー半導体を製造している加賀東芝エレクトロニクス (石川県) で新型コロナウイルスのクラスターが発生し、同社は2週間工場を休止した。最初に発症した社員2人がPCR検査を受けたのが約10日後であり、その間に感染が拡大してしまった。世界でコロナにより半導体工場が生産休止したのは加賀東芝が初めてのケースとなったが、PCR検査を迅速に受けることができたら、クラスターの発生を回避でき、生産休止を免れた可能性がある。 コロナは世界中に感染が拡大した。日米欧では都市封鎖や緊急事態宣言が解除されつつあるが、新たにロシア、ブラジルなどの南米、インドなどのアジア、さらにアフリカで感染拡大が続いており、日米欧にも、第2波、第3波が到来する可能性が極めて高い。 そこで、本セミナーでは、コロナ禍の世界で、半導体メーカー、装置メーカー (その部品や設備メーカー) 、材料メーカーなどが、どのようにして自社と社員をコロナから防衛し、生き残り、そして成長していくかを論じたい。 幸いに、コロナ禍にあっても、世界中に飛躍的にテレワークが普及している影響で、PC、通信基地局、データセンタの需要が急拡大しており、それに関連する多くの半導体市場が成長している。半導体関連企業は、この好機を逃す手は無い。そのためには、万全のコロナ対策を講じ、生き延びなくてはならない。 欧米など諸外国では、半導体関連産業は、エッセンシャル・ビジネスと位置付けられ、コロナ禍での企業活動を政府が支援している。半導体の供給が途絶えた時のネガテイブ・インパクトがあまりにも大きいからだ。ところが、日本政府や業界団体には、そのような認識が希薄なため、具体的な対策が講じられていない。それが、PCR検査の遅延による加賀東芝の生産休止という事態を招いてしまった。 日本の半導体関連企業は、政府や業界団体の支援はあてにできない。したがって、自助努力によって生き延びるしか道は無い。そして、コロナ禍を生き延びた者だけが勝者となり、アフター・コロナ (AC) の時代の覇権を握ることができるだろう。まずはコロナを防衛する。そして成長する。そのための指針をお伝えしたい。 加えて、コロナ騒動に紛れているが、米中ハイテク戦争が新たな局面を迎えている。米商務省は、中国ファーウェイに対する輸出強化を厳格化した。その結果、TSMCが最先端プロセスで製造したスマートフォン用プロセッサをファーウェイに輸出できなくなる可能性が高い。また、そのTSMCは米国政府の要請を受け、約1兆3000億円を投じて米国に5nmの最先端半導体工場をけ節することを発表した。これらの余波は、日本の半導体メーカー、装置メーカー、材料メーカーにも影響が広がることを説明する。
パワー半導体を製造している加賀東芝エレクトロニクス (石川県) でコロナのクラスターが発生し、同社は2週間生産を休止しました。加賀東芝は世界で初めてコロナで生産休止した半導体工場となりましたが、このことを取り上げるメデイアはありません。筆者が公開情報を基に分析したところ、最初に発症した社員2人が迅速にPCR検査を受けることができていたら、クラスター発生を回避でき、工場を休止せずに済んだかもしれないことが分かりました。この分析結果を業界団体に伝え、何か手を打つように要請しましたが、反応がありませんでした。また、首相官邸に、「半導体はエッセンシャル・ビジネスだから、社員にコロナが疑われる者が出た場合、迅速にPCR検査を行って頂きたい」という要望書を提出しましたが。今の所、何の回答もありません。筆者は、日本政府や業界団体が動かないことに大きな危機感を抱きました。 そこで、この実態を関係者にお伝えし、第2の加賀東芝を出さないために、自己防衛をして頂きたいと願って本セミナーを提案するに至りました。驚くべきことに、深刻なコロナ禍にあっても世界の半導体産業は成長しています。この好機を掴むためにも、関連企業は自己防衛を徹底し、生き残り、成長して欲しいと思っています。
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