高分子製品の品質トラブルは非常に多岐にわたっている。
それらの中で、比較的、多発する問題で、かつ、原因解明には、物性解析よりは分析が有効な次の3項目を取り上げて、原因と分析法を説明する。
- 添加剤のブリードやブルームの解析
成形品中の添加剤が効果を発揮するために重要
- 変色の問題:添加剤の構造変化およびポリマーの構造変化
- 異物の分析
ここでは範囲を拡大し、「汚染」 (たとえば異臭成分による汚染) も取り上げる
どの項目も「微量分析」の要素があり、高性能な装置を使用すれば、比較的簡単に構造情報が得られることは否定できないが、最新鋭の装置の紹介よりは、普通の装置をいかに上手く使いこなすかについて力点を置く。
- 序論:
高分子製品の品質トラブルの色々
- 添加剤のブリーディング・ブルーミングの解析
- 総論
- ブリーディング (ブリード) ・ブルーミング (ブルーム) とは
- 高分子製品の品質との関係
- 分析法の指針:
ブリード物の分析に適した手法:種類と選択指針
- 主要な表面分析法の種類と特徴
- 元素情報を得たい場合
- 化合物情報を得たい場合
- 分子量情報を得たい場合
- ブリード物の分析法各論 (1) :
基材ごと分析する方法
- 赤外分光法
- ラマン分光法
- X線光電子分光法 (XPS)
- 二次イオン質量分析法 (TOF-SIMS)
- MALDI TOF-MS
- その他:呈色法、接触角
- ブリード物の分析法各論 (2) :
ブリード物の転写と赤外法の組合せ
- ATR法用プリズムへの転写
- その他の機械的転写:
- 溶媒を用いる転写法:
- ブリード物の分析法各論 (3) :
ブリード物の転写とその他の分析法の組合せ
- 転写とマイクロ質量分析法 (μMS法) の組み合わせ
- 溶媒洗浄法と熱分解ガスクロ/質量分析 (PyGC/MS) の組み合わせ
- 定性する上での注意
- 添加剤の構造変化
- ブリード・ブルームに見えてそうでないもの
- ブリード物・ブルーム物の状態分析法
- ブリード速度 (拡散速度) の測定法
- 高分子製品の変色の問題:
原因および分析法
- 発色成分の分析に適した分析手法
- 薄層クロマトグラフィー
- HPLC-PDA
- 共鳴ラマン分光
- 添加剤の構造変化に起因する変色の例
- 酸化防止剤の構造変化
- その他
- ポリマーの構造変化に起因する変色の例
- 劣化による変色
- その他
- 高分子製品の異物混入・汚染の問題:
原因および分析法
- 異物・汚染の発生原因
- 重合工程での発生
- 成形工程での発生
- その他
- 異物 (汚染) の分析手法
- 顕微赤外分光
- 顕微ラマン分光
- その他:
- 前処理技術:
- 異物の分析法の指針
- 表面の異物
- 内部の異物
- その他
- 異物分析のポイント:
「化合物」から「物」の特定へ
- 典型的な異物の分析例
- ゲル、焼け樹脂の分析法
- 気泡 (ボイド、ブリスター) の分析法
- 異物類似の表面欠陥:
- 異臭成分による汚染
- 異臭成分の分析指針:
ニオイ嗅ぎガスクロ
- 異臭成分の分析例
- 高分子製品による周囲の汚染
- 接触による汚染
- 非接触的汚染