治験における客観的評価の中心となる検査値変動について、その変動機序を理解することを目的とする。有害事象には、軽度なものから、黄疸、浮腫または貧血といった重大な身体所見もあるが、いずれの場合も症状発現前に血液や尿などの検査値の変動が起きているはずである。
治験の現場では、これらを感度良く検出するために、特に精確な測定を行っている。故に軽度に基準範囲を超えるような変動も検出されることがしばしば起こり適切な考察が求められる。これらについては臨床医との議論の中で、「一過性の変動」や「生理的変動」と結論づけられることも多いが、測定結果は客観的事実である。検査値変動が身体機能の何れの「異常」が原因となっているかを横断的に学習し、有害事象の因果関係を明らかにすることを第一の目的とする。
第二には「一過性の変動」や「生理的変動」の起きる機構を学習する。これにより、カルテ閲覧や臨床医との議論で求めるべき情報を明確化することが可能となる。
- 検査伝票のどの項目に注目すべきか:臨床医が先ずチェックしている項目は。
- 基準範囲、臨床判断値、人為的変動、一過性変動、生理的変動
- 肝臓ダメージ・機能障害で変動する臨床検査項目の理解:肝臓は、エネルギー代謝、
- 蛋白・脂質合成、解毒、網内系機能を果たしている。機能に異常を来たした際の検査値変動は何か。
- 肝臓の解剖と機能の整理
- 肝細胞ダメージの指標と肝機能障害の指標
- AST, ALT, LDHの作用点は
- 腎ダメージ/障害:腎臓は、排泄器官であるとともに、酸塩基平衡制御、電解質濃度制御を行っている。
- 機能異常の臨床検査値変動は何か。:クレアチニンクリアランス
- BUNの軽度上昇は、腎機能障害以外でも頻繁に認められるが、上昇機序は何か
- 腎ダメージを早期に検出するための検査には何があるか。:尿蛋白、尿β2ミクログロブリン
- 血液細胞に対する影響:溶血や、造血障害が有害事象として出現することがある。
また、アレルギー性の応答として、好酸球増加も特徴的である。
- 薬物による溶血の機序
- 溶血時の検査値異常
- クームステスト
- 症例提示と検討
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