第1部:
ポリマーアロイの基礎とその構造及び物性制御
ポリマーアロイという用語が認知されて,今年で33年になる。この様に壮年期を迎えるポリマーアロイであるが,盛衰も含めた今後の進展方向を見極めるためにはその誕生原理への温既知心が一つの指針になろう。ポリマーアロイの最新トピックを紹介することに執着せずに,ポリマーアロイの本質を解説したいと思う。
ポリマーアロイの2本柱はブロック共重合体とポリマーブレンドである。それぞれの合成と構造と物性について,具体例を示しながら基礎概念を解説し,基礎概念から“はみ出た“特殊例も紹介する。更に,高分子の選択的完全分解を利用した新規ナノ材料の作製法も展望する。
- ポリマーアロイの基礎
- ポリマーアロイの定義
- ブロック共重合体のミクロ相分離構造
- ブロック共重合体の合成:
リビングアニオン重合を例に
- 線状ブロック共重合体:
光記憶素子を例に
- 分岐ブロック共重合体:
ブロックーグラフト共重合体を例に
- 星型ブロック共重合体:
ミクロ相分離構造の制御を例に
- ポリマーブレンドの相溶性と非相溶性
- 相図の理解:
熱力学的観点を例に
- ポリマーブレンドの分類:
熱測定を例に
- 相溶領域の拡大:
光-レオロジー測定を例に
- 相溶性と非相溶性の一般化と特殊性:
誘電緩和挙動を例に
- 動的構造の一般的理解と特殊性:
緩和現象を例に
- ナノ材料への展開
- ミクロ相分離構造の進展方向:
非線状ブロック共重合体を例に
- 分解による分子設計:
選択的完全分解性高分子を例に
- ポリマーブレンドの動的構造:
非平衡状態の応用を例に
- ポリマーアロイの新展開:
ナノ材料を例に
第2部:
リアクティブプロセッシング技術の基礎とポリマーアロイ構造制御
近年、高分子材料には、諸特性の同時高度化や高機能化が求められている。この要請に応えるために、各種の新規高分子合成技術の開発も進められているが、開発の迅速化のためには、高分子材料の複合化技術の適用が重要であり、特にリアクティブプロセッシングの導入によるポリマーアロイの設計によって、環境適応材などの実用化が進められている。
本講では、いくつかの実用化例を取り上げて、それらの基礎的な考え方について概説する。
- 高分子材料のモルフォロジー
- ミクロ構造とナノ構造
- モルフォロジーの観察測定とその評価
- モルフォロジーと材料特性・機能
- モルフォロジーの制御
- ポリマーアロイの歴史と構造・物性の制御
- 分散相の粒径の制御
- 相溶化剤 (相容化剤) 選定の考え方
- ミクロ/ナノ構造制御におけるトップダウン/ボトムアップ戦略
- リアクティブプロセッシング
- リアクティブプロセッシングのプロセス・反応制御
- リアクティブプロセッシングによる材料設計
- リアクティブプロセッシングにより形成されるナノ構造
- モルフォロジー制御手法の展開
- 最近のモルフォロジー制御手法の展開
- 次世代ポリマーの可能性