(2011年11月29日 10:00~11:30)
講師 : 東京大学 生産技術研究所 特任教授 黒崎 明 氏
東北大震災津波による福島の原子力災害を契機として世界中で電力供給構造の見直しが始まっている。 海洋エネルギーについてもその大きなポテンシャルに注目が集まり、将来の重要な電力源と目されるようになった。 2011年9月には欧州波力・潮力エネルギー国際会議 (EWTEC) が開催され、欧州発の世界的金融危機懸念を払拭する盛況を呈した。 本講演はこうした動向を説明するとともに、今後の課題・展望について意見を述べる。
(2011年11月29日 12:10~13:40)
講師:
(株)三井造船昭島研究所 事業統括部 プロジェクト事業部
部長 宮島 省吾 氏
1970年代の石油ショックの際に、石油の代替エネルギーとして波力発電の研究が各国の研究機関で盛んに行われた。特に我が国は、波力発電の国際研究において中心的立場に立ち、いち早く大型実証試験機を開発して研究をリードした。しかしながら、石油価格が安定し始めると、発電コストが高いという問題から我が国における波力発電研究は縮小され、マイティーホエールの実証研究を最後に、大規模なプロジェクトは行われていない。 一方、欧米各国では、地球温暖化対策の一環として、2000年頃から海洋再生可能エネルギー利用に対して多額の補助金をつぎ込み、最新の発電システムや制御システムを組み込んだ新世代の波力発電装置が開発され、いくつかの実海域実証試験も行われている。また、我が国でも、今年度からNEDOが波力発電を含む海洋再生可能エネルギー利用装置の実証研究と技術開発研究の公募を開始した。 本講演では、1970年代~2000年にかけて我が国で行われた波力発電開発の技術的説明と問題点、最近の波力発電システムの紹介および波パワー賦存量の推定方法と日本近海の適地選定方法の例について説明する。
(2011年11月29日 13:50~15:20)
講師:
山口大学 大学院 理工学研究科 物理化学専攻 精密化学
機能性高分子工学 教授 比嘉 充 氏
濃度差発電は、海水等の塩水と、河口・下水排出口等の淡水間との混合エントロピー変化を電力に変換する発電方式である。 環境に熱負荷を与えず、CO2削減効果に優れ、風力や太陽光のような時間変動がほとんどなく、安定性が非常に高い、次世代の再生可能エネルギーとして最近特に注目されている。 濃度差発電には半透膜を使用して浸透圧差を水圧差に変換して発電する浸透圧発電Pressure Retarded Osmosis (PRO) と、イオン交換膜の両側の塩濃度差により発生する起電力を利用する逆電気透析 (Reverse ElectroDialysis) がある。 ここではこれらの原理と特長、そして現状と今後の展望について述べる。
(2011年11月29日 15:30~17:00)
講師:
日本大学 理工学部 電気工学科
准教授 塩野 光弘 氏
海水の流れを利用する海流および潮流発電は、原理的には風力発電と同じであるが、流体密度が高いため、海流・潮流のエネルギー密度は風力よりも高く、再生可能エネルギーの中で発電のポテンシャルが高いとも言われている。 海流・潮流エネルギーを利用した発電に関して、我国では1970年代中頃から検討されてきているものの研究開発段階で終わっている。 しかし、2000年頃からー欧州で盛んに海洋エネルギーの研究開発が進み、海流・潮流発電の商業ベースを目的にしたプロトタイプの実証実験を終えて、その実用化の目前にきている。 本講演では海流・潮流発電の仕組みから国内外の開発動向、風力発電に比較してなかなか導入されない問題点などについて解説を行う。