信頼性確保はあくまで我々の社会的責任であり、それは個々の企業が自ら考え、自らの責任で実践していかなければならない問題である。 一方、申請資料の質の向上に伴ない適合性書面調査は、調査方法が簡略化し、調査時間が短縮している。このような状況は、これまで品質過剰であった部分を見直す良い機会であると思われる。 ここでは、効率的な試験関係資料 (計画書・試験記録・報告書) の作成とその信頼性の確保を行っていくため、それぞれの試験資料に求められる要件や試験関係資料作成過程における体制について考えたい。
非GLP試験はその範囲・分野が広いため、なかなか一律の基準を作るのは難しい。 その中でも、各資料に求められるできるだけ最小限の要求事項とその考え方を提示したい。 それを各施設に持ち帰り、自施設での状況に合わせた体制やルールを作って欲しい。 また、できるだけ活発な質疑応答ができるようにしたい。
~信頼性と効率化とのバランスを考慮しながら~
近年、医薬品開発の迅速化を目的に、承認申請用の試験を試験受託施設 (CRO) に委託する製薬企業 (スポンサー) が増加していると思います。ところが、スポンサーとCROそれぞれの施設には、それぞれのバックグラウンド (やり方) があり、お互いに違和感を感じることもあるのではないでしょうか。 委託した試験を申請に使用する場合、スポンサーとしてどのようなことが要求されるのか、どのような点に留意すべきなのか、また、申請用試験を受託するCROとしては、何を望まれているのか、両者の役割や関係について、自分なりの経験をもとにお話ししたいと思います。
スポンサー側としては、「良い医薬品 (および医療機器) を迅速に世の中に提供すること」という目的から業務の効率化と迅速化を考え、CRO等に試験を委託するのではないかと思います。 そのためには、信頼性確保・保証についてそれぞれがどのように考えるべきなのか、また対応すべきなのかについて、できる限り役立つお話しをしたいと思います。 また大学施設や海外の施設に委託する場合についても若干お話しします。