高機能性を具備した高分子組成物開発の重要性は、収益性を模索する日本の業界での共通認識事項となりつつあります。高機能性が示す内容を具体的に述べると、高分子だけでは果たすことのできない電気・音・電波・熱の制御技術の確立が、現実的な原動力に成り得ることが見えてきます。
本講座ではそれらの物理学の基本と、組成物開発に必要な固有の技術要素を抽出します。更に、それらの物理量を正確に計測するための理論を解説します。その上で、実際に行われている計測に関する誤解と間違いを示しながら、高分子組成物に沿う最適な測定法を紹介致します。
化学専攻の幅広い層の技術者を対象に、高分子組成物の物理学と制御技術を正面から取り上げる講座として内容を構成致しました。
- 技術概論
- 物理学と高分子製品を隔てる本質的な溝
- デタラメが生き延びている 高分子分野の非科学性
- パーコレーション説の支離滅裂
- 導電性カーボンブラック選択論の商業性
- 経験則だけを論拠とする混練技術論
- 不勉強の帰結 計測機器誤選定の現状
- 測定規格後進国 日本の現況
- 電気を制御するための科学 … 電子の物理
- 理解したい科学と技術
- 金属電子・π電子・n 型半導体における電子挙動
- 量子論で語るσ電子の電気伝導阻止現象
- 組成物に適した導電性計測技術
- 汎用計測法の落とし穴
- 半導電領域計測に向いている高精度測定法
- 音を制御するための科学 … たて波の物理
- 理解したい科学と技術
- ヒト音感の多様性と対数依存性
- 振動と騒音の境界線と対応技術
- 計測法から音の性質を探る
- 「音響パワーレベル測定法」と「残響室法吸音率測定法」
- 規格から学ぶ遮音材と吸音材の設計指針
- 電波を制御するための科学 … よこ波の物理
- 理解したい科学と技術
- 電磁波の基本的性質と電波法
- 電波を左右する材料特性
- 計測法と規格動向
- 電波制御の定量化
- 測定限界の把握と開発指針の構築法
- 熱を制御するための科学 … フォノンの物理
- 理解したい科学と技術
- フォノンと電子、混在系の相互作用
- 熱伝導性を妨げる配合設計要因
- 計測技術の解説
- 普及度の高い方法の欠点
- 推奨したい計測法とその理由