- 標的・作用機構・安全性の観点から -
(2020年4月10日 10:00〜11:30)
近年、製薬業界では創薬標的の枯渇が指摘されているが、その打開策のひとつとして、新規の作用機序を有するモダリティの開拓が活発化している。従来の医薬品の多くはタンパク質に結合し、その機能を阻害することで薬効を発揮するが、近年では蛋白質を分解する医薬品やタンパク質間相互作用を阻害する医薬品など、タンパク質に対する作用機構が異なる薬剤が注目されている。また、セントラルドクマの上流に位置するDNAやRNAに作用する遺伝子治療用製品・核酸医薬品についても実用化が始まっている。さらに、非コードRNAを制御する医薬品の開発も進んでおり、今後創薬標的が大きく広がる可能性がある。 以上の背景の下、本講演では作用機序の観点から多様なモダリティが存在する核酸医薬品の開発の現状を紹介する。その上で、核酸医薬品の各モダリティと作用機序が類似した他のモダリティを比較し、標的・作用機構・安全性の観点から各々の特徴や優位性等を考察する。
(2020年4月10日 12:15〜13:45)
近年「医薬品モダリティ」という言葉が盛んに使用されるようなった。これは医学、生物科学等の進歩と共に様々な性質を持つ化学物質や細胞が様々な異なる作用を持つ医薬品等として医療に応用されることになったためである。これらの様々な医薬品は物質としての性質、人体に対する作用という自然科学の観点からの相違が認められるのはもちろんのこと、倫理面への影響にも相違がある。 一方で本邦における医薬品等の分類と規制は、2014年の薬事法改正で「再生医療等製品」が新たに定義されたもののそれ以外は大きな変化はなく、低分子医薬品も抗体医薬品も核酸医薬品も全て「医薬品」としての区切りの中にある。 本講演では、医薬品の承認に係る各制度や提出データ、さらには申請データ取得のための試験の実施の観点から、各医薬品モダリティの比較を行いながら、開発上、規制上の課題について考察する。
(2020年4月10日 14:00〜15:30)
近年、医薬品モダリティが多様化している。従来型の低分子から、ペプチド・核酸のような中分子、抗体、遺伝子、細胞治療に至るまで、その多様性は増している。さらに、新たなモダリティとして、エクソソームやマイクロバオータなども注目を集めている、市場・競争環境は激化するとともに複雑性を増している。 本講座では、各モダリティの歴史や特徴を紐解きながら、現在の技術ステージ、市場動向、開発動向、開発コスト、競争環境などを考察しつつ、従来型の研究・開発・製造のバリューチェンへのインパクトを考察するとともに、それらが中長期的な医薬品産業に対してどのようなインパクトを与えていくのかを考察する。
(2020年4月10日 15:45〜17:15)
昨今、再生医療等製品や高額薬剤の承認・薬価収載が続いています。今後は遺伝子治療の薬剤など更に高額な薬価が予測される薬剤の承認・薬価収載が行われていくと思われます。患者数が少なく、他に治療法がない薬剤の場合、その製剤の想定薬価を算定することはベテランの薬価担当者でも容易ではありません。 今回の講演では既に上市されている再生医療等製品の事例を参考に同様のケースが想定される製剤についての考え方やスムーズに薬価交渉を行う際に準備をしておくべきことなどを簡潔にお話できればと思います。2020年度の薬価算定基準の変更点や2022年度の薬価算定基準の予想される変更点についてもお話出来れと思います。
学校教育法にて規定された国、地方公共団体、および学校法人格を有する大学、大学院の教員、学生に限ります。