(2020年4月10日 10:00〜11:30)
従来、自動車の性能といえば走行に関わる性能のことであり、すなわちエンジン出力や空気抵抗、燃費などの向上が最重要課題であった。近年では、排出ガスに関する法規制が整備されており、環境性能に対する要求も高まっている。そこで各社より電気自動車の開発・普及促進が図られているが、それに伴って車内環境における乗員の温熱快適性の重要度が増している。その理由として、電気自動車の場合にはカーエアコンの熱源・動力源として走行用バッテリーのエネルギーを消費してしまうために、快適性確保のためにエアコンを使用すると、航続距離が著しく減少してしまうことが挙げられる。より少ないエネルギーで乗員の快適性を確保できるよう設計するためには、そもそも快適性を定量的に評価することができなければならない。 そこで本講演では、温熱快適性の評価法について紹介する。参加者には、車内環境予測のための簡易プログラムを配布する。
(2020年4月10日 12:10〜13:40)
室内環境における温熱環境要素は,人の快適感だけではなく覚醒度や作業パフォーマンスにも影響を与えます。本研究では、人の温熱快適性と覚醒度の両方を高く維持できる温熱環境設計を目指し、様々な温熱環境下における温熱快適性と覚醒度の関連性について検討を重ねてきました。温熱的に快適な環境では覚醒度が低下し、覚醒させるための温熱刺激は快適感を低下させるというトレードオフの関係の中で、温度の変化に注目し、特にドライバの覚醒維持と快適性向上の両方が要求される車内の温度制御の影響についてえられた知見を共有し、聴衆の皆様と議論させていただければと考えております。
(2020年4月10日 13:50〜15:20)
バイタルデータと温熱的快適感の相関について、脳波と心拍変動に加え,ヒトのゆらぎによる快適感の評価について、研究事例をご紹介します。また、最適な温調制御に向けた人体温熱生理モデルを用いた、エアコンを用いた空調と局所加熱を用いた温調の効果についても、研究事例を紹介します。
(2020年4月10日 15:30〜17:00)
近年、数値シミュレーションにより、車室内の温熱環境及び乗員温冷感・快適性が多く検討されている。 乗員温冷感の検討では、人体内部の体温調節機能をモデル化し、皮膚温などの生理量、さらには温冷感指標を評価する人体熱モデルから、サーマルマネキンの制御をモデル化し、放熱量、等価温度などの物理量を評価する手法など様々なモデル・手法が提案されている。この中で等価温度は人体生理量とは異なる物理量であり、ISO14505-2でも計測法・評価法が規定されている。しかしながら、 ISO14505-2ではサーマルマネキンによる等価温度の計測に関する規格であるため、シミュレーションに適用する場合には不明確な部分が多い。車室内における等価温度のシミュレーションについて、シミュレーション結果と実験結果を比較した事例が少なく、数値計算結果の妥当性が十分に検証されていなく、着衣の取り扱いも不明確である。 本講演では、着衣条件における車室内の等価温度シミュレーション手法の確立を目的とした実験、解析結果及びそれらの比較について、解析精度、予測精度を検証する。
学校教育法にて規定された国、地方公共団体、および学校法人格を有する大学、大学院の教員、学生に限ります。