人工関節の設計条件およびトライボロジ

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本セミナーでは、工学部出身でありながら医療系の研究組織に所属し、半世紀に渡って携わってきた講師の人工関節開発の経験から、医工の接点に位置する医療機器において本質的な難しさがどこにあるのかを解説いたします。
特に、過去の人工関節の開発過程においてどのような失敗が繰り返されたかを示し、今後、人工関節の新規開発を目指す上での参考していただけます。

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開催予定

プログラム

人工関節は、1960年に我が国で実用化してから半世紀以上が経過し、現在、出荷本数が年間20万にも及ぶ成熟した技術になっている。しかし、当初から問題となっていた、固定部分の緩みとか摩擦面から排出する摩耗粉の人体への影響を防ぐ方法は、いまだ十分に確立してはいない。  人工関節自体は、工業製品である。しかし、人体内部に設置されて機能するインプラント材料なので、設計上の諸条件を詳細に定めるのは難しい。また、設置の際には、ヒトの生きた組織に固定する必要がある。固定部分となる人体組織と人工物の境界面に発生する問題は、医学、工学いずれをもってしても、単独では取り扱うことができない。たとえば、人工関節の大きさの問題については、両者の利害が対立するので、最適解を得るのは至難の業である。したがって、人工関節の開発プロジェクトの構築には、医工連携から進んで医工融合を目指す必要がある。  本講演においては、講師が、工学部出身でありながら医療系の研究組織に所属し、半世紀に渡って携わってきた人工関節開発の経験から、医工の接点に位置する医療機器において本質的な難しさがどこにあるのかを解説する。特に、過去の人工関節の開発過程においてどのような失敗が繰り返されたかを示し、今後、人工関節の新規開発を目指す上での参考に供する。

  1. 人工関節概論
    1. 医工の接点に位置する人工関節
      1. 関節とは何か
      2. 人工関節による関節形成術
      3. 人工関節の歴史と種類
    2. 機械的合併症
      1. 本体の破損,周囲組織の骨折
      2. 摩耗粉の有害反応
      3. 固定部の緩み
  2. 人工関節の設計条件
    1. 人工関節の置かれる力学環境
      1. 動物の筋骨格系の特性
      2. 関節の運動自由度と人工関節の運動機能
    2. 人体の一部をなすための条件
      1. 空間の壁
      2. 時間の壁
  3. 人工関節のトライボロジ
    1. 動物関節の潤滑機構
      1. 潤滑メカニズムの諸説
      2. 関節摩擦面の構造と摩擦係数
      3. 関節軟骨と関節液の潤滑性能
    2. 人工関節の潤滑
      1. 摩擦面材料の耐摩耗性
      2. 流体潤滑のための摩擦面形状設計
      3. 有機物質の潤滑機構
  4. 人工関節の固定法
    1. 固定法の種類
      1. 骨セメントによる固定法
      2. 骨セメントを用いない固定法
    2. 固定部分の形状デザイン
      1. プレスフィット固定の問題点
      2. 力学的安定性を得る固定部分のデザイン
  5. 医療機器としての承認申請
    1. 審査のガイドライン
    2. 人工関節試験法の標準規格

会場

新宿区立 新宿文化センター
160-0022 東京都 新宿区新宿 6-14-1
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