本セミナーでは、工学部出身でありながら医療系の研究組織に所属し、半世紀に渡って携わってきた講師の人工関節開発の経験から、医工の接点に位置する医療機器において本質的な難しさがどこにあるのかを解説いたします。
特に、過去の人工関節の開発過程においてどのような失敗が繰り返されたかを示し、今後、人工関節の新規開発を目指す上での参考していただけます。
人工関節は、1960年に我が国で実用化してから半世紀以上が経過し、現在、出荷本数が年間20万にも及ぶ成熟した技術になっている。しかし、当初から問題となっていた、固定部分の緩みとか摩擦面から排出する摩耗粉の人体への影響を防ぐ方法は、いまだ十分に確立してはいない。 人工関節自体は、工業製品である。しかし、人体内部に設置されて機能するインプラント材料なので、設計上の諸条件を詳細に定めるのは難しい。また、設置の際には、ヒトの生きた組織に固定する必要がある。固定部分となる人体組織と人工物の境界面に発生する問題は、医学、工学いずれをもってしても、単独では取り扱うことができない。たとえば、人工関節の大きさの問題については、両者の利害が対立するので、最適解を得るのは至難の業である。したがって、人工関節の開発プロジェクトの構築には、医工連携から進んで医工融合を目指す必要がある。 本講演においては、講師が、工学部出身でありながら医療系の研究組織に所属し、半世紀に渡って携わってきた人工関節開発の経験から、医工の接点に位置する医療機器において本質的な難しさがどこにあるのかを解説する。特に、過去の人工関節の開発過程においてどのような失敗が繰り返されたかを示し、今後、人工関節の新規開発を目指す上での参考に供する。
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