本講演では、リスクを扱うための予測モデリングを、実務家、特にアクチュアリーの視点から紹介します。予測モデリングは「精確な予測を生み出す数理的なツールやモデルを作り上げていくプロセス」として定義することができ、その思想自体はそれほど新しいものではありませんが、ビッグデータの時代になって、その重要度は急速に増しています。現に、保険や年金のリスク管理の専門家であるアクチュアリーたちはいま、予測モデリングの基本を習得することが国際標準として求められています。 そこで、その際に求められる予測モデリングの「基本」とは何かについて、概要を紹介します。 本講演ではリスクという観点にも着目します。 ここでいうリスクとは「不確定」かつ「避けたい」もののことであり、保険会社その他の金融機関が直接に専門的に扱っているものが典型です。 こうしたリスクを扱う実務家にとっては、不確定の度合いの高いデータに対して単純性を保ったまま高い予測精度が発揮できるモデルが必要です。 ところが、現時点で広く紹介されている予測モデリングの手法は、パターン認識の課題 (不確定の度合いは高くない) にはうまく対処できるというものがほとんどです。 実のところ、リスクを扱う実務家が満足できるようなモデルは現時点では十分整備されておらず、まだまだ基本的なモデルから開発していく必要があります。 本講演では、講演者が開発に携わっているAGLMという新手法 (https://github.com/kkondo1981/aglm 参照) を簡単に紹介します。