第1部
微生物管理における日局16の改正点の詳細と欧米との比較
日米EU三局の国際調和は、 PDG で展開されてきているが、 ICH Q4B RAAPAC で相互承認が進められ、微生物関連の調和が図られている。
日局16改正で、「微生物限度試験法」及び「無菌試験法」はICH加盟地域において相互利用が可能となり、また、「エンドトキシン試験法」についてはICH Q4BでStep 2になっていて、最終調和に向けた努力が継続されている。
近年、特に無菌医薬品製造における微生物管理の重要性が十分に理解され、三極の規制、指針などが改訂され、ISOに改訂を含め、菌や微粒子管理に対する最新技術を取り込んだ基準が設定されている。
微生物管理の新たな動向を踏まえて、3局及び日本の当局が加盟に向けて進めている PIC/S(Pharmaceutical Inspection Cooperation Scheme : 医薬品査察相互承認機構) の微生物管理に関する諸要件の比較について解説する。
- 微生物試験の種類と三局比較
- 微生物列挙試験 (限度試験)
- 無菌製品の細菌属性
- クリンルーム及び他の制御下環境の微生物評価
- 完全性試験
- パラメトリック・リリース
- 無菌製品の包装の無菌性評価
- 滅菌確認用生物指標 (BI)
- 製薬用水:注射用水、精製水の三局比較と、菌管理基準値と管理手法
- 製薬用水設備の菌管理に対する設計及び運用におけるポイント
- 特定菌の管理における留意点
- 非無菌医薬品の微生物属性に関する微生物管理、処方及び工程設計、施設、設備、及び水、医薬品原料成分の滅菌、及び微生物試験
- 環境計画における重要な要素
- 警報基準及び措置基準レベルの考え方と留意点
- 培養試験とインライン管理
- PATに基づく迅速試験法
第2部
微生物管理における3極およびPIC/S GMP要件の比較
GMPの実施と微生物管理は密接な関係があります。
微生物の管理は、1) 設備、プロセスのバリデーションに始まり、2) 日常の製造工程の管理、3) 製品、原材料の微生物汚染の管理、4) 無菌製品の無菌性の確保、非無菌製品にあっては菌数の管理の観点から、GMP実施のうえで極めて大きな役割を果たしています。
また最近は、微生物管理の重要性が十分に理解され、加えて公的な基準の制定、改訂も行われています。国際的には各種微生物試験法は、日米欧薬局方検討会議 (PDG) で国際調和作業が行われており、ICHの場でも日米欧3局方の微生物関連の調和が図られている。以上の微生物管理の動向を踏まえて、3極及びPIC/S GMP要件のGAP分析を中心して解説します。
- 医薬品品質保証、GMPと微生物汚染管理の意義
- GMPにおける微生物管理のポイント
- 日本薬局方及び国際基準の改定
- 微生物試験で対象とする微生物とは何か
- 無菌製剤の微生物汚染管理の留意点
- 非無菌製剤の微生物汚染管理の留意点
- 微生物限度試験法による特定微生物の試験
- 微生物試験法及び工程管理の基準について留意すべきこと
- 試験結果の解釈
- 再試験の運営と考え方
- 滅菌法及び滅菌操作法
- GMPの規定と微生物管理基準及び汚染防止の方法
- GMPの規定と微生物管理基準
- 微生物汚染防止の方法
- 医薬品の品質保証とバリデーション
- バリデーションの考え方及びGMPの規定
- バリデーションのステップ
- 滅菌条件の設定
- 滅菌法のバリデーションで必要な項目
- 試験法のバリデーション
- 微生物の回収率測定のためのバリデーション
- バリデーションの手順
- 消毒手順のバリデーション
- 製薬用水の微生物管理