本セミナーでは、マルチマテリアル化に伴って発生するガルバニック腐食について取り上げ、ガルバニック腐食の原因、メカニズム、計測方法、防止対策まで分かりやすく解説いたします。
ものづくりには、鉄、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、銅、炭素繊維等を含む多種多様の材料が複雑環境下で利用されている。一方、金属表面に生ずる腐食は、生産コスト面のみならず安全面にも大きな問題になっている。これを対応するため、腐食発生のメカニズムを理解し、腐食速度を測定することが重要である。特に、マルチマテリア間に起こるガルバニック腐食を重視し、そのメカニズムおよび計測方法を把握したうえ防止対策を立てなければならない。 本講演の前半では、金属元素の起源や金属原子の内部構造から説明を始め、金属腐食反応の特徴であるカソード/アノードの分離、電子の移転および腐食電流の発生に関するメカニズムを解説する。その後、カソード分極およびアノード分極の概念と測定方法を説明し、分極曲線から、簡易・迅速的に腐食速度を得る方法を紹介する。講演の後半では、異種金属接触と化学電池の発展に触れてから、ガルバニック腐食のメカニズムおよびそれに及ぼす腐食環境、電極間距離ならびに流速等の影響を解説する。その後、ガルバニック腐食の事例を挟んで、ガルバニック腐食の計測・分析方法およびガルバニック腐食の防止策を紹介する。