スラリーの挙動の複雑怪奇さは、多くの技術者を悩ませている。しかしスラリーに関する専門書はレオロジーと濾過・脱水に限られ、粒子状材料プロセスで役に立つ専門書は皆無と言ってよかったが、講師は名古屋大学での研究成果を「基礎スラリー工学」にまとめ、丸善より出版した。
本セミナーではこの本をテキストに用い、講師の現場技術との交流をベースに蓄積された学術研究の成果に立って、なぜスラリーの挙動は複雑なのか、複雑さを支配している因子は何か、複雑な挙動をどのように評価し制御するか、新たなスラリー制御技術について講義する。
- 粉体工学とスラリー工学
- スラリー工学の現状と課題
- 微粒子はなぜスラリーとして扱われるか
- スラリーの挙動はなぜ複雑か
- 問題解決の道筋
- 材料プロセスで重要な評価項目
- 粒子特性
- 粒子径、比表面積、密度
- 粒子径
- 比表面積、密度
- 粒子径分布、粒子構造
- 粒子と媒液の界面
- 粒子と分散媒の親和性
- 溶媒和 (水和)
- 濡性
- 粒子の帯電
- 帯電機構
- 電気二重層
- ゼータ電位測定
- 界面活性剤の吸着
- 界面活性剤
- 吸着機構
- 吸着量の測定
- アルミナ粒子とポリカルボン酸アンモニウムの吸脱着挙動
- 粒子間に働く力
- DLVO理論
- 静電ポテンシャル
- ファンデルワールスポテンシャル
- 全相互作用 (DLVO理論)
- 疎水性相互作用
- 吸着高分子により生じる力
- 高分子枯渇作用
- 粒子間力測定法
- 表面間力測定装置 (SFA)
- 原子間力顕微鏡 (AFM)
- 非水分散媒液 (有機溶媒) の場合
- 粒子の分散・凝集
- 親液・疎液性 (濡性)
- 粒子の接近・衝突
- 粒子濃度
- ブラウン (Brown) 凝集
- 沈降凝集
- 剪断凝集
- 凝集機構と凝集形態
- 反発力がない場合 (急速凝集)
- 反発力がある場合 (緩慢凝集)
- 分散・凝集状態の評価
- 濁度、透過光強度測定
- 粒子径分布測定
- 直接観察
- スラリー流動特性
- 流動特性
- 流動特性に影響を及ぼす諸因子
- 粒子濃度
- 粒子径と粒子帯電の影響
- pH、分散剤添加の影響
- 経時変化
- 流動特性評価法
- 共軸二重円筒形回転粘度計
- 円すいー平板形回転粘度計
- 単一円筒形回転粘度計 (B型粘度計) と振動粘度計
- 流動特性と成形
- 粒子の沈降・堆積挙動
- 粒子の沈降挙動
- 自由沈降
- 水平方向の運動
- 遠心場における運動
- 干渉沈降
- 成相沈降・集合沈降
- 回分沈降試験
- 沈降パターンの観察例
- 堆積層の固化
- 粒子の充填特性
- 回分沈降試験による評価・解析
- 目視
- 沈降静水圧法
- 充填特性に及ぼす粒子間力の影響
- 定圧濾過法による評価・解析
- 流動特性と充塡特性
- スラリー調製
- スラリー化
- 均質化
- スラリー特性の最適化