GDPガイドライン「医薬品の適正流通基準」については、欧米をはじめ世界各国で整備・強化が進んでおり、日本でも医療用医薬品の安全性確保策として、2028年12月28日PIC/S GDPに準拠した日本版GDPが発出された。このGDPガイドラインの適正な運用を行うに際して、「品質に影響を及ぼす保管・輸送に関わる品質確保」、「流通過程の適正管理 (輸送業者の選定監査) 」、及び「偽造医薬品対策」が求められるところであり、そのための契約書・手順書・記録類等、関連標準書の整備、保管及び輸送に関する適切なGDP運用システムの構築求められることになった。しかしその後、医薬品保管場所や輸送車両の温度管理としての、温度マッピングや温度管理・逸脱対応、委託先管理との品質取り決め、GDPの運用システム (品質マネジメントレビュー) の適性が実践などで取り組むべき課題が多い。ICH Q7の保管・輸送、及びEU GDP、PIC/S GMP保管・輸送ベリフィケーション等の規制も踏まえながら、何をどの程度管理するべきかを解りやすく説明する。
他方、日本でも発生した偽造医薬品の問題は、これまでの日本の医薬品サプライチェーンの在り方を根本から見直すこととなったが、偽造医薬品流通防止の対策についても解説したい。
- 日本版GDPに関連する規制の動向
- GDPの目的と必要性及び海外GDPの状況
- GDPガイドラインの構成
- 日本版GDP ガイドラインの経緯と適用範囲及び要求事項
- GDPがグローバルに求められる理由
- ICH Q7に示される医薬品の輸送中のGMP要求事項とEMA Q&A
- 代理店
- 仲介業者
- 貿易業者
- 流通業者
- 再包装業者
- 再表示業者
- 医薬品輸送、輸送中の品質管理に関するGMPの要求事項
- 海外におけるGDPの要求事項
- 医薬品倉庫・保管・輸送管理に関連する重要事項
- 原則
- 医薬品倉庫・保管・輸送バリデーションとは
- 容器、包装及びラベル表示
- 特別な条件が必要とされる製品
- 温度マッピングの要求事項と測定頻度
- 保管・輸送中の温度管理と逸脱対応について
- 医薬品輸送中に求められるバリデーション
- PIC/S Annex15 輸送のベリフィケ – ション
- 温度管理など品質劣化に関与する因子
- 医薬品輸送業者の選定
- 輸送中の管理項目
- 輸送手段と留意点
- 輸送ルート
- 輸送業者の選定基準と選定監査
- GDP品質協定書
- GMP・GDPに対応した品質システムの構築
- 手順書・記録書に関する規制要件
- 社内GDP規定、手順書・記録関連文書の作成と運用
- 輸送業者とのGDP契約書の作成と運用体制
- GDP 外部委託業務 (Chapter 7) の要求事項と対策
- 輸送バリデーションと包括的なリスクアセスメント
- GDP領域におけるコンピューター化システムバリデーション (CSV)
- 文書化と記録及びデータインテグリティ
- GDPとGMP/GQPとの一貫性とGDP品質マネジメントレビュー
- GMP/GQPに求められる出荷、保管又は輸送 (配送) 、流通
- GMDPについて
- GDP品質マネジメントレビューの運用と手順書の作成
- 医療用医薬品の偽造品流通防止について
- 米国のサプライチェーンセキュリティー法
- 日本の偽造医薬品への取組み
- 流通過程における具体的対応
- GDPガイドラインを踏まえた査察対応
- まとめ