第1部 大気圧プラズマの基礎と新しい装置開発および応用の現状
(2020年1月29日 10:30~14:20)
大気圧プラズマは真空容器や排気設備を必要とせず、また高密度な活性種を生成できるため,産業応用には大変多くのメリットがあります。このため、材料表面の親水化処理、接着性の向上、クリーニング等の分野で急速に利用され始めています。しかし、大気圧プラズマの発生や利用法についてはブラックボックス的な部分が多いため、利用へのしきいが高いのも事実です。
そこで本講演では、大気圧プラズマの物理をわかりやすく解説するとともに、最新の大気圧プラズマ装置の現状と、表面処理、医療、農業等への応用例をご紹介します。
- 大気圧プラズマの基礎
- 教科書に書かれているプラズマ
- なぜ大気圧プラズマ?
- 様々な大気圧プラズマの生成法
- 大気圧プラズマの基礎特性
- プラズマ中では何が起こっているか
- 大気圧プラズマの特性
- 大気圧プラズマの温度・密度
- 大気圧プラズマの計測
- 大気圧高温プラズマとその応用
- 大気圧高純度マルチガスプラズマ
- 地球温暖化ガスの分解
- 高速半導体プロセシング
- 新しい大気圧低温プラズマ装置とその応用
- マルチガス化の必要性
- マルチガスプラズマジェット
- リニア型ダメージフリープラズマ
- 温度を精密制御できるプラズマ
- 高速親水化処理・クリーニング
- コーティング、接着性の向上
- 金属酸化膜の超高速還元
- 液体や粉体の表面処理・殺菌
- 医療,農業への応用
- マイクロバブル、超音波との併用
- 質疑応答
第2部 大気圧プラズマの環境浄化および表面処理への応用
(2020年1月29日 14:30〜17:00)
本講演では、はじめに大気圧プラズマの発生方法と発生メカニズムの基礎について実例をあげわかりやすく解説します。次に講師が開発した大気圧プラズマ複合処理技術の基礎と応用例を、分野の最新動向を交えながらわかりやすく解説します。例として環境浄化と表面処理への応用例を取り上げます。具体的には、ディーゼルエンジン排ガス処理、工業用ボイラー排ガス処理、水中プラズマによる水浄化廃水処理、揮発性有機化合物 (VOC) 分解処理、空気清浄装置、フッ素樹脂フィルムの接着性向上技術、ガラス表面およびポリマー表面の恒久的処理技術などを選択して解説し、受講後、類似の開発を直ちに始めることができるような具体的情報を提供します。なお、研究途上の技術については実用化に向けた技術的課題、今後の見通しを述べます。
- 大気圧プラズマの発生方法と発生メカニズムの基礎
- 大気圧プラズマと発生法
- オゾン発生装置
- 沿面放電方式
- パックドベットプラズマリアクタ
- プラズマジェット電極
- プラズマ装置と電子回路
- 表面処理装置の例
- ディーゼルエンジン排気のPM,NOx同時除去
- ディーゼルPM除去装置
- PMの低温燃焼浄化
- NOxの還元浄化
- 船舶ディーゼルNOx除去の経時変化
- 工業用ボイラー排ガス処理
- プラズマケミカルハイブリッド法
- プラントの概略
- NOx処理性能試験結果
- 水中気液界面プラズマによる廃水処理
- プラズマ発生の原理と装置詳細
- 電極による放電状態の違い
- 代表的OHラジカル発生法比較
- 各種計測・試験の結果とまとめ
- 低温プラズマ複合処理によるVOC (揮発性有機化合物) 分解技術
- プラズマ発生の原理と装置詳細
- プラズマ脱着を用いたVOC処理技術
- 非熱プラズマ発生時の放電写真
- 各種計測・試験の結果とまとめ
- プラズマ空気清浄システム
- プラズマ脱臭の原理
- 空気清浄機の構造と結果
- プラズマ空気清浄のデモンストレーション
- 各種計測・試験の結果とまとめ
- 大気圧プラズマ複合プロセスによるフッ素樹脂フィルムの接着性向上技術
- 大気圧プラズマグラフト重合処理装置
- フッ素樹脂フィルム処理の実験装置と実験条件
- 接着性評価結果
- テフロン表面へのめっきについて (プラズマ複合めっき処理)
- A4コロナ表面処理のデモンストレーション
- 大気圧プラズマ複合プロセスによるガラス表面およびポリマー表面の恒久的処理技術
- 自動車のフロントガラスやサイドミラーの水滴除去
- プラズマのみを照射した場合 (親水性向上)
- プラズマ・ケミカル複合プロセスによる恒久的はっ水処理
- 樹脂フィルムとガラスの接着
- フッ素樹脂フィルム上有機EL膜の発光特性
- 質疑応答・試作サンプル回覧