CASE (Connected、Autonomous、Shared & Services、Electric) によって急激に進む自動車の電子化や5GやIoTに伴う機器の高発熱密度化、これらはいずれも深刻な熱問題を生みます。「機能優先で設計してシミュレーション結果を見て熱対策を行う」という従来スタイルではではもはや不具合の発生を抑えきれません。設計上流段階で論理的なプロセスに基づきコストミニマムの対策を織り込むことが必須要件になっています。そのためには放熱のメカニズムや基本原則を学び、手計算でも温度を予測・対策できるようなスキルを身につけること、一定の熱設計プロセスに従って確実な対策の織り込みが重要です。
本講では、伝熱の基礎的事項から始め、部品、基板、筐体設計まで広範囲に熱対策の常套手段を解説します。機器設計に関わる方々に必須な対策ノウハウをお伝えします。
- 最近の熱設計のトレンド
- 電子機器冷却技術の変遷
- 部品の小型化により基板放熱が主体となった
- 熱設計の目的と熱による不具合
- 機能的な障害:熱暴走、発熱増大
- 寿命問題:熱疲労、化学変化、劣化
- 対人的要因:低温やけど
- 熱設計に必要な伝熱の基礎知識
- 熱伝導のメカニズム
- 対流のメカニズム
- 放射のメカニズム
- 物質移動による熱移動
- 電子機器の放熱経路と低熱抵抗化
- 機器の放熱経路
- 機器の熱等価回路と熱対策マップ
- 熱対策マップと対策選定
- プリント基板と部品の熱設計
- 基板の等価熱伝導率 (面方向、厚み方向)
- 高放熱基板と低放熱基板の設計法の違い
- 部品レイアウトの最適化
- サーマルビアの設置方法・ビア本数と放熱効果
- 目標熱抵抗と単体熱抵抗で危険部品を見分ける
- ジュール発熱による温度上昇計算
- 自然空冷機器の熱設計
- 自然空冷機器の放熱限界
- 通風孔と内部温度上昇
- 通風孔設計の設け方
- 煙突効果の利用
- 密閉ファンレス筐体の熱設計
- 筐体伝導放熱機器の放熱ルート
- 接触熱抵抗とその低減策
- TIMの種類と特徴、使い分け
- 放熱シート使用上の注意点
- 強制空冷機器の熱設計
- ファンの基本特性と選定方法
- PUSH型とPULL型のメリット/デメリットと使い分け
- 強制空冷機器では適切な給排気口面積がある
- 最大出力点とファン騒音の低減
- ヒートシンク設計
- ヒートシンクの選定/設計の手順
- 包絡体積と熱抵抗の関係
- ヒートシンクの設置方向と性能・指向性の対策
- ヒートシンクパラメータ決定の優先順位
- フィンの最適ピッチ
- 知っておきたいヒートシンクの常識