セッション1. プレフィルドシリンジ/キット製品の最新情報と今後の課題
(2019年12月18日 10:30~12:00)
近年、多くのバイオロジカル技術利用製剤が治療に用いられてきており、その中にあってプレフィルドシリンジは、投与形態の第一選択になってきているといっても過言ではない。
ここでは、医療市場におけるプレフィルドシリンジの状況および、プレフィルドシリンジ製剤開発で課題となる品質保証と完全性試験、自己投与課題及び品質管理システムについて述べる。
- 医療市場におけるプレフィルドシリンジの現状
- 世界のバイオシミラー
- 日本のPFS新薬
- シリンジ製剤開発の課題
- PFS製剤の容器完全性試験について
- 日本薬局方 製剤包装通則
- USP 1207
- JIS 滅菌済み注射筒
- JIS ガラス注射筒
- 微生物透過性試験
- 高電圧リーク試験、ヘッドスペース気体分析法、真空圧力差法の仕組みと長所短所
- プレフィルドシリンジの自己投与について
- ユーザービリティ – 評価
- 医療製品製造業者でのGMP&QMS管理について
- 品質システム
- PIC/S – GMP
- 今後の課題について
セッション2. プレフィルドシリンジにおける3極 (日欧米) の薬局方の規制と規格試験
(2019年12月18日 12:45~14:15)
シリンジ用材料としてプラスチックとゴム、ガラスが主に使用され、日欧米共に薬局方により試験法と規格が規定されている。プレフィルドシリンジに関するISO規格もあり、申請書の記載基準が提示されている。日本の規格は、欧米と比較して限定的で曖昧な面があるが、2019年5月にマスターファイル制度の導入が通知された。
本講では、法規制の最新動向及びトピックスとして食品包装用樹脂のPL制度化も紹介する。
- 包装を取り巻く環境
- 医療分野に使用される材料の概要:プラスチック・ゴム・ガラス等
- 薬局方及び医療機器規制当局フォーラ国際調和会議の進捗状況
- 日本薬局方 (JP) :第17改正、シリンジの定義、容器の規格
- 米国薬局方 (USP) :材料と容器の規格
- 欧州薬局方 (EP) :材料と容器の規格
- 3極薬局方の現状比較と重要相違点・留意点
- 医療機器申請における原材料の記載基準:ISO及びJIS
- プレフィルドシリンジに関するISO規格
- 医療機器原材料のマスターファイル制度の通知について (2019.05)
- 医療機器の殺菌・滅菌の現状
- プレフィルドシリンジのまとめ
- トピックス :厚労省の食品包装用樹脂のPL制度化と医療分野への影響
- まとめ – 企業におけるリスク管理の進め方 -
セッション3. 製薬企業から見たプレフィルドシリンジ・デバイスの安全性
~実際の報告事例と適正使用に向けた企業活動~
(2019年12月18日 14:30~16:00)
関節リウマチ治療薬のBio製剤アクテムラ皮下注は2013年5月に発売し、約6年半経過した。プレフィルドシリンジとオートインジェクターの2タイプ上市したが、その間実臨床で発生した
実際の報告事例とその対応策について、適正使用に基づく注意喚起とデバイス改良をどのように行ってきたかの企業活動についてご説明します。
- はじめに
- 生物学的製剤アクテムラ
- 自己注射について
- アクテムラ皮下注開発の経緯
- オートインジェクターの導入
- 発売前の課題
- オートインジェクター発売後の状況
- 市販後に発生した問題点
- クレーム発生状況および件数
- 現在の課題
- 新規デバイスの今後
- 現在開発されているデバイス情報
- 期待されるデバイスなど
- おわりに
セッション4. 医師が考える使いやすく、現場で求められているプレフィルドキット製剤のデザイン
(2019年12月18日 16:15~17:45)
プレフィルドキット製剤は、簡便に用いられて便利な反面、費用対効果や誤投与への留意が必要となります。同製剤に関して、病院や在宅で求められることに関する現状と課題を説明いたします。
- プレフィルド/キット製剤について
- プレフィルド/キット製剤とは
- 日本国内におけるキット製剤
- プレフィルド/キット製剤の利点・欠点
- 臨床 (麻酔科) で頻用される薬剤
- オピオイド鎮痛薬
- 鎮静薬
- 循環作動薬
- 降圧薬
- その他の薬剤
- 在宅で求められる薬剤
- 点滴製剤
- 持続皮下注製剤
- キット製剤に求めるデザイン/使用感
- 終わりに
- 痛くない針にするために
- 医療の費用対効果
- まとめ
セッション1. 抗体医薬品の凝集体除去と凝集化抑制
(2019年12月19日 10:30~12:00)
2014年に発表されたFDAガイドラインでは、リスク管理の観点から、凝集体量を可能な限り減らすことを製造者に推奨している。
本講座では、抗体医薬品の凝集体に焦点を当てて、基本的な事項を解説したのち、凝集体の除去技術および抑制技術に関して、抗体医薬品の製造現場で実用されている既存技術と新たな技術開発の動向について演者らの取り組みも含めて紹介する。
- 免疫原性に関わるFDAガイダンス
- 凝集体の定義と分類
- 凝集体を分析する
- 凝集体を除去する
- 凝集化を抑制する
- 添加剤によるタンパク質の安定化
- 抗体医薬品の添加剤トレンド
- 技術開発動向の紹介
- 立体構造に異常が生じた抗体のみを選択的に捕捉する吸着剤
- 製造工程で取り残されている粒径の小さい抗体凝集体の除去
- 凝集前駆体を除去すると、保管中の抗体溶液の凝集体発生が低減
セッション2. 培養プロセスにおける凝集形成と制御について
~抗体生産CHO細胞を中心に~
(2019年12月19日 12:45~14:15)
抗体医薬品生産の細胞培養プロセスに生じる凝集形成については、そのメカニズムも含めて基礎的な知見を含めた基礎研究の実例が少ない。
本講演ではChinese hamster ovary (CHO) 細胞に焦点をあてケーススタディーを取り入れながら、培養プロセスにおける凝集形成機構と制御の研究を紹介する。
- バイオプロセスにおける抗体凝集
- 抗体医薬品の生産方法と分子不均一性
- 細胞培養プロセスにおけるタンパク質凝集のケーススタディー
- CHO 細胞培養プロセスにおける凝集抗体の形成機構
- ケミカルシャペロン添加による難発現性抗体の凝集抑制の試み
- 細胞培養プロセスにおける抗体凝集形成
- 凝集抗体の構造的特徴
- N – 型糖鎖構造と凝集抗体の関連性
- 抗体品質を向上させるバイオプロセス構築は可能か?
セッション3 タンパク質の凝集の抑制と製剤の安定化へ
~プレフィルドシリンジにおける凝集体の発生メカニズムと抑制~
(2019年12月19日 14:30~16:00)
バイオ医薬品の製剤における近年のトレンドは、プレフィルドシリンジ (PFS) タイプの製剤の開発である。一方、近年、バイオ医薬品の製造や保管中における凝集体発生が課題として認識され、凝集体と免疫原性の関係が理解されるに従い、凝集体の抑制が求められるようになってきた。
本講演では、バイオ医薬品のリスク要因となり得る凝集体との関連を中心にPFSタイプのバイオ医薬品における凝集体発生メカニズムと抑制手段について紹介する。
- はじめに
- バイオ医薬品で発生する凝集体の特性と定量
- バイオ医薬品で発生する凝集体が免疫原性に与える影響
- バイオ医薬品の凝集体発生経路と関連する因子
- 分散性とコロイド安定性
- 変性と構造安定性
- 界面変性
- PFSにおける凝集体発生に関与する項目
- ヘッドスペース
- シリコンオイル塗布
- 落下衝撃と振とう
- 押出による投与
- 製造や保管時の酸化
- 凍結
- 注射用水 (WFI) を充填したプレフィルドシリンジ (PFS) における注意点