近年、知的財産の重要性が高まる中、知的財産戦略が高度化する傾向にあります。とくに、医薬品分野においては、薬事法 (医薬品医療機器等法) や生物多様性に関連した規制が、特許戦略に大きく影響を与えるようになってきました。例えば、薬事法については、再審査制度において特許を考慮する仕組み (パテントリンケージ) が採用されており、パテントリンケージを医薬品特許戦略にどのように活かすかについては、重要な課題になっています。また、ライフサイクルマネジメントについては、薬事法に基づいて承認された医薬品の内容が、特許期間の延長の可否や権利範囲に影響を与えています。2020年3月に施行される改正特許法により、新たな特許延長制度が導入され、ライフサイクルマネジメントに新たな視点が導入されます。生物多様性については、生物多様性に配慮した特許明細書の書き方や、事前の合意と利益配分を遵守した特許戦略の策定方法が重要な課題になっています。 本講演では、このような視点から、薬事法と生物多様性に配慮した医薬品特許戦略の策定方法について説明し、今後の課題と対応策について解説します。 特許法、薬事法、生物多様性の実務の現状を理解し、薬事法と生物多様性に配慮した医薬品特許戦略を構築できることがねらいです。具体的には、医薬品の再審査制度と特許の関連性 (パテントリンケージ) 、特許権の存続期間の延長と医薬品の製造承認、生物多様性に配慮した特許明細書の書き方、事前の合意と利益配分を遵守した特許戦略の策定方法について理解することがねらいです。