第1部. ゲル化・増粘のメカニズムとその評価法
(2020年1月20日 10:00〜13:00)
ゲル化剤や増粘剤は多くの産業分野で広く利用されている。両者ともに主にゲル化や粘度を調整するために使用される。ゲル化剤・増粘剤の多くは高分子物質であり、その種類も多様である。従ってゲル化・増粘効果を有効的に発揮する方法も、分子量、濃度、温度、更にはその取り扱う条件で多様に異なり、統一的理解が困難である。
当講演では、ゲル化剤、増粘剤の種類について述べるとともに、多くのゲル化・増粘剤の効果を統一的に理解するための機構を、現象論的にさらには分子的観点から解説する。またそれらを統一的に理解する評価法について講述する。また適宜、上記のことを理解するための基礎的事項についても解り易く解説する。
- ゲル化剤、増粘剤の分類
- 高分子系、天然高分子とその誘導体、合成高分子
- 無機微粒子系
- 低分子ゲル化剤系
- 代表的なゲル化・増粘剤の特性
- 多糖類及びその多糖誘導体
- 合成高分子
- 無機系微粒子
- 低分子ゲル化剤 (oil gelator)
- ゲル化、増粘機構とその原動力
- ゲル化・増粘機構のいろいろ
- 分子間に作用するいろいろな力
- 粘性の起源
- 流動とは何か
- 粘度の濃度依存性
- 弾性の起源
- 弾性変形とは何か
- エネルギー弾性とエントロピー弾性
- ゲル化剤・増粘剤の効果と評価
- ゲル化・増粘効果をレオロジーの共通語で理解する
- 緩和時間とは何か
- ゲル化・増粘効果と緩和時間
- 実際のデータの解釈
- セルロース系
- アルギン酸溶液系
- カードラン溶液系
- キトサン・キチン誘導体系
- 低分子ゲル化剤系
- その他の系
- ゲル化・増粘効果を評価する便利な測定法
- その他、ゲル化・増粘効果を理解するための基礎的事項についての解説
第2部. 機高分子ゲル・低分子ゲルの調製とその安定性維持
(2020年1月20日 13:45〜17:00)
ゲルは、多量の溶媒を含みながら、粘性状態から非常に硬い個体状態まで幅広い性質を持つ。そして、ゲルを構成している化合物の化学構造、架橋点の制御、溶媒などを的確に分子設計することで様々な機能を有するゲルが開発できる。このようなゲルは、機能性ソフトマテリアルとして、医療・医薬、食品、化粧品、農業、工業など多くの分野での応用研究が行われている。高分子化合物によって形成されるゲルは、高分子合成化学の発展とともにさらに高機能なゲルが開発されている。一方、非共有結合を主相互作用とした超分子化学の分野から、低分子化合物によるゲル化が注目され、低分子のゲル化剤の開発や機能性低分子ゲルに関する研究が行われている。
本講演では、ゲルの基本的な概念、高分子ゲルの調製と応用、低分子ゲルの調製と応用について解説する。また、今後の展望について述べる。
- ゲルに関する基礎知識
- ゲルとは?
- ゲルの特性と用途
- ゲルの考え方 (分類)
- 高分子ゲルと低分子ゲル
- ゲル化機構の違い
- 高分子ゲルの調製法
- 高分子合成とゲル
- 機能性高分子によるゲル
- いろいろな高分子ゲル
- 高分子ゲルの産業利用
- 食品分野
- 医療・医薬分野
- 化粧品分野
- 農業分野
- その他
- 低分子ゲルと低分子ゲル化剤
- 低分子ゲル化剤とは何か?
- 低分子ゲル化剤の必要性?
- 低分子ゲルの作製
- 低分子ゲル中での低分子ゲル化剤のふるまい
- 低分子ゲル形成の駆動力
- 低分子ゲル化剤の分子設計
- 低分子ゲルの産業応用
- 低分子ゲルの最新の動向 (学術的観点から)
- 機能を持つ低分子ゲル
- 低分子ゲルを使った材料
- その他
- 今後の展望