様々な癌腫において免疫チェックポイント阻害剤が実臨床で使用できるようになり、治療効果のみならず、免疫関連有害事象 (irAE) についての知識と経験が浸透しつつある。irAEに対して早期発見と早期治療介入が重要であることは言うまでもないが、その発症予測、発症時期の予測は難しい。
各論では各irAEについて事例を挙げながら、有害事象を徴候ベースのみで考えるのではなく、常に病態ベースに置き換えて考えることによって、適切な治療方針がとれる点を強調したい。また、自己免疫疾患の既往を有する患者やハイリスク患者に対する免疫チェックポイント阻害剤治療の考え方や、irAE治療で用いられるステロイド・免疫抑制治療と治療アウトカムについても文献ベースで触れたい。さらに、irAEに関する国内外のガイドラインを参考に、多職種連携によってirAEに対して準備と対応をすることが可能であることを述べたい。本講座でirAEに関する基本的な知識の整理をする一助になればと思う。
- 免疫関連有害事象 (irAE) の発症メカニズム
- irAEの頻度と発症時期
- irAEの治療総論
- ステロイドの使い方
- 免疫抑制薬の使い方
- irAE各論
- 肺障害
- 内分泌障害
- 下垂体障害
- 甲状腺機能障害
- 副腎不全
- 一型糖尿病
- 循環器障害
- 関節炎
- irAEのリスクが高い患者に対する治療:自己免疫疾患の治療
- irAEと治療アウトカム
- ステロイドとの関連
- 免疫抑制治療との関連
- irAE後の治療再開
- irAEに関する国内外のガイドライン
- ASCO, ESMO, JSMOがん免疫療法ガイドライン
- irAE対策と多職種連携
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