近年、「質感」は心理学や脳科学における大きなテーマの一つとなりつつあると同時に、「ものづくり」にまつわる多くの分野において広く注目を集めている。
本講演では、質感に関心のある研究開発者向けに、質感の研究やその成果の利用のための基本的な考え方、質感知覚を支える脳情報処理の概要、質感研究において必須となる画像特徴解析手法の入門、心理データの計測・分析方法の基礎、を様々なデモや錯覚、研究事例を交えて解説する。
- 基礎編
- 視覚情報処理の概要
- 意識下の情報処理
- 画像の符号化
- 画像特徴の解析
- 低次から高次へ
- 「どこ」と「なに」
- 質感研究の枠組み
- 質感の物理
- 照明の構造
- コンピュータ・グラフィクス
- 反射・屈折・散乱
- 現実世界における画像の複雑さ
- 古典的視覚理論の限界
- ヒューリスティクス
- 質感研究の事例
- 画像特徴の利用
- 光沢の知覚
- 透明感の知覚
- 凹凸の知覚
- 照明の役割
- 質感の錯覚
- 質感から感性へ
- 画像の質感
- 絵画の質感
- 魅力的な質感とは
- 自動的な嗜好と嫌悪の反応
- 画像統計量とその情報処理機構
- 自然画像の統計的規則性
- 生態光学と画像統計量
- 画像統計量の符号化メカニズム
- 統計的把握を支える情報処理の原理
- 実績編
- こころ・精神への研究アプローチ
- 心理学・脳科学に関する誤解
- 神経活動と行動・主観
- 情報処理という枠組み
- ブラックボックス
- 質感と感性の解析方法
- 心理物理学実験の基礎
- 装置
- 心理物理学的測定法
- 自然画像の扱い
- ソフトウェア
- 基本的な画像処理
- 生物学的に妥当な画像特徴
- 色空間
- 空間周波数
- 統計量
- 画像特徴と心理データの関係を解析する
- 知覚の予測と理解
- 質感と感性の人工的操作