より良い治験環境とは何だろうか。「より早くより多くの新薬をより多くの患者に届ける」ことができる社会全体の状態ではないか。ITテクノロジーの発展で、様々な分野のビジネス業界で変革が起きている。製薬業界もその一つであろう。2000年代初頭にEDCの普及が始まり、2000年代後半になるとIXRS、ePRO、CTMS、などの導入も始まり、2010年代になるとクラウド、AIによる開発業務への応用が期待されてきた。しかし、自分の足元を見るとどうだろうか。いまだに10年、20年前のスタンダードを踏襲していないだろうか。
- 16年前に「全国治験活性化3カ年計画」が発表され、
- 治験のネットワーク化の推進、
- 医療機関の治験実施体制の充実、
- 患者の治験参加の支援、
- 企業における治験負担の軽減、
- 臨床研究全体の推進、
の5本柱を掲げて治験等の活性化に取り組み、1年延長され、合計4年間実施された。その後、治験スタッフの量的・質的不足は十分改善されていないこと、治験事務の効率化が不十分であること、また、医療機関ネットワークの更なる充実・活用の方策が必要であること等、質の高い治験を効率的かつ迅速に実施するための環境整備が引き続き必要であるとされ、12年前に「新たな治験活性化5カ年計画」が発表され、
- 治験・臨床研究を実施する医療機関 (治験中核病院、拠点医療機関等) の整備、
- 治験・臨床研究を実施する人材の育成と確保、
- 国民への普及啓発と治験・臨床研究への参加の促進、
- 治験の効率的実施及び企業負担の軽減、⑤ その他の課題 (GCP 省令の見直し等) の5本柱を改めて掲げて実施された。
それでも、
- 症例集積性の向上、
- 治験・臨床研究の効率化、
- 研究者の育成、
- 治験・臨床研究の実施に必要な人材の確保、
- 治験・臨床研究の情報公開、
- 治験にかかるコスト・スピード・質の適正化、
の課題は解決されず、世界における日本の新薬開発における競争力は決して高いとは言えない。
EFPIAがCRCあり方2018で発表した「日本がグローバル試験から排除される日~最悪のシナリオを回避するための意識・行動改革~」と題した刺激的なセッションにおいては、その内容も8年前にEPFIAが発表した治験の効率化における治験生産性及びコストの課題点がいまだに継続していることが明らかであった。より良い治験環境を構築して、「より早くより多くの新薬をより多くの患者に届ける」という視点に立った時に、自分に何ができるのか。
本講演では、新薬開発において長く課題となっている臨床試験の効率化という点について、そのポイント、自分にできることを改めて自覚して、明日からの業務に活用できるように参加者の皆様と一緒に議論したい。
- 臨床試験の問題点
- 計画段階での問題点
- 実施段階での問題点
- データから見る臨床試験の問題点
- Clinical QMSの概要
- 品質管理の歴史
- ISOにおけるQuality Management System
- ICH E6R2におけるClinical QMS
- 品質改善手法Lean Six Sigmaの概要
- Lean Six Sigmaの理解
- Lean
- Six Sigma
- Lean Six Sigmaによる品質改善事例
- 解決したい課題と効率化
- 解決したい、解決すべき課題、非効率と考える業務
- 効率化できる業務
- 効率化に導く道筋
- 明日から自分でもできる業務効率化
- まとめ
- 質疑応答
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