本セミナーでは、リチウム電池や燃料電池などに向けた工業材料としての利用が拡大している不織布について、技術と用途を展望する。
携帯機器用途のリチウムイオン電池では、グラファイト負極を使用しているため、充電末期にリチウムデンドライトが析出して、微少短絡が起こりやすく、微多孔膜セパレータの使用が不可欠となっている。 これら微多孔膜セパレータでは、ポリオレフィン系材料を使用しているため、150℃以下の耐熱性しかなく、自動車用大型電池の大きな課題であった。 また、グラファイト負極の使用では、-5℃以下での電池作動は困難となっており、-30℃からの作動を要求する自動車用電池の大きな課題となっている。 そこで、負極材料として、低温作動が可能なチタン酸リチウムやスズ系、シリコン系材料などが注目されており、同時に、各種の耐熱性セパレータの開発も進められている。
メソフェーズピッチを主成分とするサブミクロンの炭素繊維不織布をエレクトロスピニング法によって紡糸し、炭素・黒鉛化によって得られた炭素繊維不織布の構造およびリチウムイオン二次電池の負極、合金系負極活物質、導電助剤やリチウムイオンキャパシタ用負極としての応用について紹介する。