本セミナーでは、製粉、製薬、セメント、窯業、各種化学薬品、金属製錬、リサイクル工業などで行われている固体の粉砕とその過程で発現するメカノケミストリーについて分かり易く解説いたします。
粉砕操作に携わる技術者・研究者が抱える課題の一つは、乾式並びに湿式粉砕操作の適切な処理であり、また、その過程では様々なトラブルに見舞われる。例えば、粉砕しているのに微粒子が凝集し、逆粉砕現象が起こることなどである。また、粉体を原料にした物質処理操作に携わるプロセスにおいても、粉体原料調整の段階で不明な点が多いことから、その溶解工程や整形・焼成工程を経て、製品となる過程で問題が生じる場合がある。これらの課題や問題には、往々にして原料 (微粉体) 調整段階での情報を良く知ることで解決に繋がる場合がある。その情報の一つに、粉砕で発現するメカノケミカル効果がある。 本セミナーでは、微粉砕の効果的な方策とその過程で発現するメカノケミカル現象の理解とその応用について解説する。固体の微粉砕では、原料特性、粉砕機特性の2つを熟知することがスムーズな粉砕進行に役立つ。セミナーでは、乾式と湿式での粉砕における効果的な方法を説明し、具体的な改善に繋がる例を紹介する。そのうえで、微粉砕過程で発現する凝集・付着現象の原因がメカノケミカル効果にあることを解説し、その制御法としての効果的方法を紹介する。一方、この効果を積極的に利用する立場で微粉砕過程では原料の結晶構造の変化や相転移、エキソエレクトロン放射などによる機械的活性現象がある。この機械的活性化の結果として微粉砕操作で複数原料間での固相合成の達成を多数例示し、そのマッピングから反応の可否を説明する。このようなメカノケミカル効果 (機械的活性を含む) による様々な固相反応による触媒などの機能性粉体材料の合成例を示すとともに、タルクと二水石膏の微粉砕による水硬性粉体の合成をはじめとして様々な資源処理、廃棄物からの有価物やエネルギー回収についての例を示す。 これらのセミナー内容を理解することにより、微粉砕で生じる多くの問題・課題に対しての解決のヒントが得られ、微粉砕過程で発現するメカノケミストリーの積極的な活用を目指す研究者・技術者に有益な情報を提供できるものと考える。 セミナーの最後には、質疑応答と技術相談の時間も設けてあるので、課題を抱えておられる多くの皆様のご参加をお待ちしております。