第1部 コロイド量子ドット研究の背景、 基本的な物性と合成法
(2019年11月20日 10:00〜11:00)
蛍光性のコロイド量子ドットは、ディスプレイとして実用化され、医療分野や太陽電池への応用も考えられている。本講座では、この研究の背景・歴史を説明し、基本的な物性を解説する。このような基本を押さえたうえで、量子ドット合成、ガラスマトリックスへの分散手法について説明する
- 量子ドット研究の背景と歴史
- 量子ドット合成法と研究の歴史
- ドープされた量子ドットについて
- 基本的な物性と粒成長メカニズム
- 物理的、化学的性質 (量子サイズ効果など)
- エネルギー準位の計算方法
- 量子ドットのサイズと濃度の求め方
- 粒成長メカニズムと発光効率
- 量子ドットの合成法
- 親水性CdTe
- 親水散性ZnSeと光化学反応を利用したシェルの付加
- 疎水性InPと水相への転換
- 疎水性CdSeの各種合成法
- ガラスマトリックスへの各種分散法
- バルク体への分散
- 薄膜への分散およびファイバー形成
- 微小ガラスカプセル中への分散
第2部 量子ドットの各種評価方法と、耐光性向上の指針
(2019年11月20日 11:10〜12:10)
前講座を踏まえたうえで、発光効率と耐光性の評価法を説明する。量子ドットは、表面の割合が大きく、 表面の僅かな欠陥で発光特性が変化する。この表面の状態を理解し、耐光性を上げるための各方策・指針を、 最新の研究とも比較しながら、講師独自の見解を加えて解説する。
- 評価方法
- 単一分子検出法の発明の経緯とノーベル賞
- 単一粒子検出とブリンキング
- 発光効率 (内部量子収率) の測定・評価法
- 耐光性の測定・評価法
- 耐光性向上の具体策
- ポリマーを用いる方法
- イオン結晶による閉じ込め
- アルミナ薄膜による被覆
- ガラスカプセル化とその優位性
第3部 カドミウムフリー量子ドットの合成と光学特性・応用
(2019年11月20日 13:00〜14:00)
CdSe量子ドットを搭載したディスプレイが既に市販されているが、Cdは高い毒性を有するため、より安全な非Cd系量子ドットの開発が急務となっている。本講演では、CdSeコロイダル量子ドットの特性、合成法から、カドミウムフリー量子ドットの設計、合成、及びその特性について世界的な動向を含め、解説する。
- コロイダルCdSe量子ドット
- CdSe量子ドットの光学特性
- CdSe量子ドットの合成
- 応用と規制状況
- カドミウムフリー材料
- カドミウムフリー量子ドットの合成法とその特性
- III – V族半導体量子ドット
- I – III – VI2族半導体量子ドット
- II – VI族混晶量子ドット
- ペロブスカイト型量子ドット
- その他の量子ドット
- 量子ドット蛍光体の応用
- 量子ドットを利用した素子開発
- カドミウムフリー量子ドットの性能と課題
- まとめ
第4部 量子ドット (QD) デバイスの現状と展望
(2019年11月20日 14:10〜15:10)
量次世代ディスプレイのキーマテリアルであるQDの応用技術、更に、照明、太陽電池、センサー、情報通信等への利用を紹介する。RoHS規制を考慮したQDの必要性、及び、QDを使いこなす技術開発の重要性についても解説する。
- 量子ドット (QD) とは
- コロイダルQDとは
- 次世代ディスプレイ
- QDディスプレイ
- QDを用いたディスプレイ方式
- 液晶ディスプレイ (LCD) 向けQDバックライト
- CC方式によるディスプレイへの応用
- 電流注入による自発光ディスプレイ
- ディスプレイ以外のデバイス応用
- 照明応用
- 太陽電池・センサー
- 通信情報技術
- 量子ドットデバイス応用の課題と方針
第5部 量子ドットの応用事例
~QDフィルムによるディスプレイの発光効率向上を中心に~
(2019年11月20日 15:20〜16:20)
- 「QDフィルム」開発の背景や経緯
- 「QDフィルム」の構造、特徴
- 量子ドットのコア・シェル構造
- 量子ドットフィルムの構造
- 「QDフィルム」のディスプレイ材料) としての性能評価方法
- 量子ドットフィルムの使用例、製品展開に
- 4K,8K放送対応の薄型テレビ
- プロ用の映像機器
- eスポーツ用ゲーミングPCモニター
- ノートPCやタブレットのディスプレイ
- 車載ディスプレイ
- 医療分野のモニター 他
- 今後の課題
- 水や酸素への耐久性向上
- 高輝度化
- 耐熱性向上
第6部 踊り場を超えて再び市場拡大を目指す 量子ドットの動向
(2019年11月20日 16:30〜17:30)
ホログラム、偽造防止印刷、RFID、電子透かしを始めとするセキュリティ媒体、スマートフォンなどの認証機器、クラウドサービスを用いた認証PFなどDNPの偽造防止対策における総合的な取り組みについて解説する。
- 量子ドット (QD) のディスプレイ応用の最新状況
- 展示会等でのアピールと市場への浸透状況
- QDが注目された背景:スーパーハイビジョンの色域競争
- 量子ドットの技術
- 構造、特徴をわかりやすく解説する
- LCDへの応用で先行するPL Mode
- OLED代替のQLEDを実現するEL Mode
- Cd系とCdフリー系の違い
- Cd規制の現状
- QD材料メーカ各社の特徴とビジネス戦略
- 欧米ベンチャーと参入するアジアのメーカ
- 韓国大手二社が繰り広げるQDとOLEDの戦い
- 奮闘する日本の材料メーカ