微細かつ薄膜の金属 (Cu) 配線と低誘電率 (Low-k) 層間絶縁膜は、シリコンULSIにおいて広く用いられてきましたが、さらなる微細化や薄膜化、低抵抗化や低容量化、高信頼化への要求が益々強くなっています。しかし、配線寸法やコンタクト/ビアホール径の微細化・薄膜化に伴って配線/ホールの電気抵抗や寄生容量は著しく増大し、導通歩留りや信頼性を確保するのがより一層難しくなっているのが現状です。
本セミナーでは、28nm世代以降の微細金属配線形成のための薄膜バリアメタル及びCu埋め込み技術の最新動向をはじめ、高信頼化技術の今後の方向性について述べます。
次に、世界的に開発が遅れている比誘電率2.5以下の多孔質 (Porous) Low-k絶縁膜の材料・プロセス課題と、実用化する上で鍵を握る機械強度やプラズマダメージ耐性の改善施策や、究極の低容量化技術であるエアギャップ形成技術や、金属配線代替としてのナノカーボン材料 (グラフェン、CNT) を用いた低抵抗・高信頼性配線/ホール埋め込み技術の最新動向と実用化に向けた課題について言及します。
- 多層配線技術の歴史的変遷
- 半導体産業60年の歴史を振り返って
- 半導体の種類と微細化の狙い
- 多層配線の役割と構造・材料・プロセスの進化の足跡
- 金属/絶縁膜成膜・接続孔形成・平坦化技術の種類と変遷
- 多層配線の最適スケーリングとITRS2010最新配線技術ロードマップ
- 多層配線の役割と階層別の配線要求
- 高性能デバイスにおける多層配線レイアウトの実例
- 配線パラメータのスケーリング理論
- ITRS2010最新配線技術ロードマップ策定の経緯と詳細:
- Cu配線の微細化に伴う抵抗上昇
- Low-kロードマップ改訂
- コンタクト抵抗の推移とWプラグの限界見極め
- 最大電流密度 (Jmax) 改訂
- 微細Cuダマシン配線プロセス技術の基礎と最新動向
- Cuダマシン配線の形成プロセスフロー概要
- CuとAlの材料物性比較とバリアメタル (BM) の要件・材料候補
- BM/シードCuの成膜技術の変遷と課題
- PVD-BMの特性比較 (Ta系vs. Ti系) とCVD (ALD) 技術の課題
- Cu電解めっきプロセスの概要とめっき添加剤の影響
- 新規CVDライナ (Ru、Co) のメリットと課題
- CuMnシードを利用した超薄膜バリア (MnOx) 自己形成技術の概要と課題
- Cu配線の微細化・薄膜化に伴う抵抗上昇と対策:
- 幅・膜厚依存性と電子散乱モデル
- 結晶粒径や表面酸化の影響
- モンテカルロシミュレーションによる微細金属配線中の電子散乱解析と高精度電気抵抗予測
- ストレスマイグレーション (SM) 信頼性の基礎:
- ビアホール付きCu配線のSM現象の特徴
- クリープモデル
- SM改善の実例
- エレクトロマイグレーション (EM) 信頼性の基礎:
- EM現象の機構
- Al配線との差異
- 微細化によるEM劣化
- 各種キャップ (CoW、CuSiNなど) による高信頼化
- CuSiN+Ti-BMによる抵抗上昇の抑制
- 配線間TDDB信頼性の基礎:
- Low-k層間絶縁膜プロセス技術の基礎と最新動向
- Low-k材料の種類と材料候補、プリカーサの変遷
- 機械的強度とプラズマダメージ耐性の低下による諸問題:
- 吸湿による容量増大
- 配線間リーク増大
- Wet後処理によるCDロス
- 多孔質化 (Porous) 材料における機械的強度の改善:
- ポアサイズの微細化・均一化とEB or UVキュアの効果
- プラズマダメージ抑制のための施策:
- 高Carbon濃度化
- ハードマスク適用効果
- ダミー配置効果
- ダメージ修復 (Silylation) の原理と効果、今後の技術の方向性
- Ultra low-k対応CMP技術:
- CMPせん断応力によるLow-k界面剥がれ
- 界面密着強度改善施策
- ダイレクトCMPの課題
- Cu/Low-k技術の適用限界とPost-Cu/Low-k技術の展望
- 金属配線の微細化限界についての考察
- ナノカーボン材料 (CNT、グラフェン) の原理的なメリット
- 高密度・高速CNT成長の要件とパルス励起プラズマCVDの概要
- nmφビアホールへのCNT成長と電気特性
- 積層グラフェンを用いた低抵配線構造の候補
- Low-k材料の機械的強度の限界と代替プロセス (Pore後作り) の可能性
- Air-Gap構造の原理的な課題
- 代表的な2通りのAir-Gap形成プロセスの概要
- 最新Air-Gap技術動向と実用上の課題
- 多層一括後抜きAir-Gapプロセスの概要と今後の課題
- 中・長期多層配線材料ロードマップ
- 総括