医学的診断は、患者の訴え、医師による診療所見、そして臨床検査の総合的な情報により判断される。その中でも最も客観的な情報を提供するのが臨床検査である。しかし高い客観性と信頼性をうるには、検査成績の正確度と精密度が適切に維持されなくてはならない。そのためには適切な精度管理が必要である。適切な精度管理は更に単一検査室だけでは達成できず、多くの検査室間で共用されなければならない。
本講座では、特に標準化によるデータ共用化と日常検査の性能維持に不可欠な精度管理に関する統計的解釈を理解することに重点をおき、根拠ある医療情報を提供できる力の習得を目的とする。
- ベースとなる統計学の基礎
- 平均値と標準誤差、信頼区間
- 母平均値に関する検定
- 回帰分析と残差分析
- 分散分析法
- 臨床検査に必要な統計学の応用1
- 標準化と共有化
- 標準物質の役目
- 標準測定法とは
- 測定方法の評価の仕方 (精密さと正確さ)
- 臨床的許容誤差の考え方
- 内部精度管理
- 管理試料による精度管理
- 標準値のある時、ない時
- 管理幅のある時、ない時
- 管理試料の濃度と数
- 要因別の管理方法
- 患者試料による主な精度管理
- 各内部精度管理手法の特徴と役割
- 管理限界を越えた場合の見かたとその対応方法
- 外部精度管理
- 標準値のある時、ない時
- 評価方法 (相対評価と絶対評価)
- 各外部精度管理のの特徴と役割
- 評価基準を越えた場合の考え方
- 臨床検査に必要な統計学の応用2
- 基準範囲
- 基準範囲の設定と計算方法
- 再現性と問題点
- データ換算方法
- 患者データ
- 単一結果の正確度
- 外部要因の影響
- 境界値の考え方