米中ハイテク戦争に加えて、日韓貿易戦争が勃発した。この二つの戦争により、半導体関連産業や電機電子産業はもちろんのこと、日本のあらゆる産業が被害を受ける。さらに今年後半に不況が明けそうだったメモリ業界も混沌とし始め、先が見えなくなってきた。そこで、二つの戦争によるインパクト、および、メモリ業界の最新動向を分析することにより、各社がビジネスを防衛し成長するにはどうしたら良いかを提案する。 日韓戦争では、日本政府が7月4日に発動した半導体3材料の輸出規制により、韓国半導体メーカーと日本の材料メーカーが大混乱に陥っている。まず、輸出規制された3材料の被害を明らかにする。そして、その被害は半導体材料だけでなく、製造装置、その部品や設備などに、ドミノ倒し的に波及していくことを明らかにする。さらに、“韓国でシェアが高いことはリスク”になったことを示し、日本のあらゆる産業が被害を受けることを論じる。その上で、韓国でシェアの高い全ての企業が自社を防衛するにはどうしたら良いかを提言する。 一方、米中ハイテク戦争では8月13日に、「国防権限法2019」の第1段が施行された。そして、来年の東京五輪終了直後の2020年8月13日には、さらに厄介な「国防権限法2019」の第2段が施行される。その第2段では、あなたの会社の本社、営業所、研究所、開発センター、工場、関連会社などのどこか、さらには部品などのサプライヤーや製品を収めているカスタマー、これらのどこか1ヵ所でもファーウェイ等中国企業の製品やサービスを使っていた場合、米国政府機関とのビジネスが遮断される。その規模は、79兆円と巨大である。セミナーでは、この国防権限法の全体像を明らかにするとともに、ファーウェイがエンティティーリスト (EL) に載っていること、米中が関税合戦を行っていることの影響を説明する。その上で、米中ハイテク戦争を生き延びるための指針を示す。 メモリ業界は2018年後半から不況に突入した。まず、その原因が、インテルが10nmプロセスの立ち上げに失敗し続けていることを説明する。次に、やっと好況に転じようとしていたメモリ業界が、日韓戦争などにより、先が見通せなくなった状況を述べる。さらに、メモリ不況を利用して、サムスン電子が7社もあるNANDメーカーの淘汰を目論んでいる推論を論じる。 加えて、露光装置、ドライエッチング装置、CVD装置、洗浄装置、CMP装置、検査装置等の主要な半導体製造装置の企業別出荷高シェアおよび出荷台数の最新動向分析を行う。最先端露光装置EUVの離陸、3次元NANDのメモリホールを巡るドライエッチング装置メーカーの攻防、洗浄装置における韓国SEMESの躍進など、ダイナミックな装置メーカーの攻防を論じる。 最後に、米中&日韓戦争および長引くメモリ不況は、どの企業にも等しく降りかかってくる災難であるが、競合他社を出し抜くチャンスでもあることを論じる。二つの経済戦争により、グローバル経済は毀損された。指を咥えて立ち止まっている企業が淘汰され、この機に乗じて攻勢に転じた企業が生き残り成長するだろう。
全ての日本企業は、日韓貿易戦争と米中ハイテク戦争の影響を受けます。“韓国でシェアが高いこと”はリスクになりました。防衛しない企業は将来、韓国向けのすべてのビジネスを失います。また、東京五輪直後の2020年8月13日から施行される米国の「国防権限法2019」への対策は待ったなしの状況です。対策を怠った企業は、窮地に陥ることになります。メモリメーカーが再編される可能性があります。それによって、サプライヤーもカスタマーも大きな影響を受ける可能性があります。