(2019年11月5日 10:00〜11:30)
周知のとおり、対人関係には、人々の外見が大きく影響しています。特に第一印象は、たった数秒で決定づけられ、その印象はなかなか変えることができないものとされています。美容業界では、お客様の第一印象・対人関係をも考慮した外見の提案 (施術) が必要であり、そのためにはお客様との共通言語・認識を持つことが必要であると考えられています。一定の基準を持つためにはどのようにすればいいのか。そこから、顔パーツ配置と化粧による印象評価について検討してきました。美容の現場から生まれた研究をご紹介させて頂きたいと思います。
(2019年11月5日 12:15〜13:45)
人の肌は体の最も外側に位置し、その表面を広く覆っている器官である。そのため、生体の内部と外部の境界として重要な役割を果たしており、生理的、物理的に生体を外部から分離し、外部環境の情報の受容・伝達や外的悪影響から保護する膜の役割として働く。一方心理的、社会的には、人の外見の基盤としてその印象形成に寄与しているだけでなく、肌の状態から年齢・性別、情動や健康状態など様々な情報を読み取れることから、他人とのコミュニケーションにおいても重要な役割を担っている。それゆえ、肌を美しく装い、他者から受ける印象を操作し、対人関係を円滑にするための化粧行動は古来より人にとって常に強い関心の対象であった。メーキャップ等の化粧行動は肌の形状、色、質感を制御し、より好ましい肌を具現化する。 今回はこれらの要素の内、透明感やツヤ感といった肌の質感に着目し、実際の研究例を交え、素肌および化粧を施した肌における質感のモデル化手法ついて概説する。
(2019年11月5日 14:00〜15:30)
メイクアップ化粧品は見た目を使用者にとって好ましく仕上げることを主たる目的とするアイテムである。そのため、「人々は顔のどこをどのように見て仕上がりが好ましいか否かを判定しているのか」という感性メカニズムを考察することは、メイクアップ化粧品開発において最も重要な工程の一つであるといえる。 本講演では、メイクアップ化粧品を代表するアイテムの一つであるファンデーションを取り上げ、その塗布色の好ましさ、より具体的には「ファンデーションを塗って色が合っていないと感じる時にはどのような感性メカニズムが働いているのか」について論じる。
(2019年11月5日 15:45〜17:15)
肌色誘導現象とは、アイシャドウや口紅といったポイントメイクによって、肌色が見た目の上で違った色に見えることを指す。これは一種の人体錯視と考えられ、長年研究されて来た幾何学的錯視とは異なるユニークな側面を見せる。 今回は、ポイントメイクの印象、肌色誘導現象の詳細、好ましいメイク配色などについて、講演者の研究成果から得られた知見を紹介する。