骨格筋の高度な利活用を目指した研究開発動向

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生体の40%を占める骨格筋は、近年、生体における「動力源」としてだけでなく、「代謝」の中心を担う器官、あるいは他臓器へメッセージ物質を送る「分泌」器官として捉えられるようになった。加齢や疾病による筋量や筋力の低下は、寝たきりによるQOL低下、糖尿病等のメタボリックシンドロームだけでなく、アルツハイマー等との関連性までが指摘される。アンチエイジングや美容といった分野でも筋機能の活用は注目されている。再生医療や細胞治療のターゲットとしても重要である。未来技術として、環境調和型の動力源 (筋アクチュエーター) や培養食肉といったキーワードも注目を集める。  本セミナーでは、骨格筋機能を賢く使いこなす社会の創出を志向し、健康な筋肉とは何か? どうやって作るか? 評価するか? 活用するか? について、教科書的な知識から様々な研究者による最新の研究動向までを分野横断的に解説してみたい。

  1. はじめに
    1. 骨格筋を使いこなす”筋スマート社会”実現コンソーシアム
  2. 骨格筋とは何か? なぜ今、創薬ターゲットとされるのか?
    1. 骨格筋とは (構造と機能)
    2. 臓器・分泌器官としての骨格筋の役割
    3. 骨格筋の修復、肥大、萎縮と、健康増進との係り
    4. 生体を用いた骨格筋アッセイの現状、課題
  3. 骨格筋細胞/微小組織を用いた機能的アッセイ技術
    1. 骨格筋細胞のin vitro培養系の基本 (モデル動物細胞からヒト細胞へ)
    2. 骨格筋細胞を用いたアッセイ技術の基本、課題
    3. 活性張力測定など高度なアッセイ技術の動向、課題
  4. 複雑な構造を有する骨格筋組織を作り上げるための技術群
    1. 骨格筋の構造
    2. 複雑筋組織を作り上げるための技術的アプローチ
    3. 筋細胞集塊内の異種細胞の挙動理解と制御 (設計技術に向けて)
  5. 生体内環境模倣型培養技術を用い、適切に育む技術群
    1. 培養フラスコ内環境と組織内環境のちがい
    2. 生体内で骨格筋細胞が受ける物理的刺激の再現、課題
    3. 生体内で骨格筋細胞が受ける化学的刺激の再現、課題
    4. 生体内で骨格筋細胞が置かれる栄養環境の再現、課題
  6. 骨格筋の工学的利活用 (SDGsの観点から)
    1. 培養食肉技術への期待
    2. 新奇動力源としての期待
  7. おわりに

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