本セミナーでは、セルロースナノファイバー研究の第一人者達が分散、複合化、応用事例について解説いたします。
(2019年11月14日 10:00〜11:10)
弊社ではリン酸化CNFの開発に成功した。本講座では、リン酸化CNFの特徴を広く概説する。具体的にはCNFの水分散液の特徴とそれを活かした用途、また透明シート、疎水化CNF、樹脂との複合といった様々な形態のCNFを紹介する。
(2019年11月14日 11:20〜12:30)
現在、セルロースナノファイバー (CNF) の製造方法は多数報告されているが、いずれも機械解繊処理が必須である。ウォータージェット法は、CNF製造方法の中で最も優れている方法の一つと言って過言ではない。最近では、CNFの乾燥技術も発展しており、当社でもBiNFi – sドライパウダー (BFDP) として、サンプル提供を開始している。少量のBFDPをポリプロピレンに添加することでタフ化と呼ばれるユニークな現象を発現することが見出されている。また、少量のBiNFi – sをCFRPに添加することで、疲労寿命が圧倒的に向上することも見出されている。さらには、天然ゴムにBiNFi – sを添加することで高い補強効果を得られることも見出されている。 本講演では、CNFの製造から樹脂・ゴムとの複合化による高付加価値複合材料の製造まで幅広く説明する。
(2019年11月14日 13:10〜14:20)
本講座では、CNFの水系機能性添加剤としての機能やその特徴、実用化事例を紹介する。 特に、CNFが油や微粒子に吸着するといった特徴をいかしたピッカリングエマルションの形成や微粒子の分散性向上などについて、そのメカニズムも含めて解説する。微粒子分散の応用例としては、Li – ion電池用バインダーとしての研究事例を紹介する。
(2019年11月14日 14:30〜15:40)
(2019年11月14日 15:50〜17:00)
日本に大量に存在する木材資源を有効活用するためには、様々な形態での利用を考える必要がある。今回の講座では木材をナノファイバー化した時の特性と、それを工業利用するための技術を発表する。
(2019年11月15日 10:00〜11:10)
セルロースナノファイバー (CNF) の量産体制も整い、水系の機能用途を中心に商品化にいたる事例も出てきた。演者らは、TEMPO酸化法と呼ばれるCNF生産プロセスを開発している。本セミナーでは、セルロースの高次構造とTEMPO酸化法、および得られるCNFの精密構造について解説した後、強度や固有粘度等のCNF1本の特性から、フィルムやエアロゲル等のCNF集積体の形成と物性へと進み、樹脂等との複合化および理想的な補強に要する界面構造など、CNF研究の要点を紹介する。
(2019年11月15日 11:20〜12:30)
セルロースナノファイバー (CNF) は、自己凝集性の強さから、乾燥時や貧溶媒中で凝集してしまう傾向にある。そのため複合体中にCNFを分散させることが困難であり、期待される補強効果を得ることが難しい。そこで我々はCNFを核材とした高分子の希薄溶液からの結晶化を利用して、CNF表面を高分子結晶で被覆したナノ複合繊維 (NCF) の作製方法を確立した。NCFはCNFのまわりを高分子結晶が覆い、CNFの自己凝集性の抑制や、表面の凹凸による添加効果増大が期待される。NCFの作製法や構造の特徴および作製したNCFを用いた複合体への応用についても論述する。
(2019年11月15日 13:10〜14:20)
本講座では、植物由来セルロースナノファイバー (CNF) によるプラスチック強化について、その基礎から成形プロセス、得られた材料の特性を紹介します。CNFは、最近の環境問題によりプラスチック産業が直面している課題を解決する大きな力となると考えています。大きな可能性を秘めたCNFとCNF強化プラスチックのポテンシャルを感じていただければと思います。
(2019年11月15日 14:30〜15:40)
石油系プラスチック材料がもたらす地球温暖化、枯渇資源使用、廃棄物などの環境問題は、日に日に深刻化しており、これを解決することは、プラスチック技術者として必須の命題と考えています。環境問題を解決する手段の一つとして、現在使用されている石油系プラスチックを、バイオマス由来で生分解可能なプラスチックに置き換えてきたいと考えています。しかし、バイオプラは石油プラと比較して、性能面でも価格面でも劣っており、このことが適用拡大の大きな課題であり、海洋プラ問題が重視されてきた今でも、用途はフィルムやレジ袋など非常に限定されたものになっています。 富士ゼロックスでは、自社製品適用で培ってきたセルロース系ポリマーアロイ設計技術とノウハウを深化させ、射出成形可能であり、石油系プラに優る特性とセルロース独特の尖った特性を併せ持つバイオプラを開発した。この技術を報告することで、環境材料に関わる皆さんの今後の業務の一助になれば非常に幸いである。
(2019年11月15日 15:50〜17:00)
近年、低環境負荷、軽量化目的としてCNFを樹脂補強材として用いたCNF複合材料の開発が活発に進行している。 CNFを樹脂補強材として使用した場合、樹脂中でのCNFの凝集は複合材の物性発現に大きく影響を与える。このため、CNF複合材料の開発に際してはCNFの分散状態を評価することが非常に重要になる。 本講演ではナノレベルの材料であるCNFについて最も効果的であると考えられる透過型電子顕微鏡 (TEM) を用いたCNF評価法について分析事例をまじえて解説する。