第1部 水分損失の観点から見た青果物の鮮度劣化メカニズム
(2019年11月13日 10:00〜11:30)
食料の不要な廃棄・ロスを削減するには、青果物の鮮度劣化を抑制する技術が必要である。またそのためには、収穫後生理を理解する必要がある。本講演では、特に水分損失の観点から見た鮮度劣化の測定手法について紹介する。
収穫後の青果物の水分損失メカニズムについて、外部環境との関係のみならず、青果物内部の水移動に踏み込んだ知見を習得できる。
- 細胞間隙:水とガスの通路が収穫後にどう変わるか
- 細胞間隙の機能
- X線CTによる細胞間隙の可視化
- 間隙閉塞がもたらす収穫後生理
- 水分損失の組織特異性
- MRIによる水分布の経時変化の可視化
- 水の運動性の分布と収穫後生理
- 細胞膜の物性と鮮度劣化
- 細胞膜水伝導係数 (水透過係数)
- アクアポリンの関与とその収穫後の経時変化
- 細胞膜の化学変化と膜物性
- 細胞膜物性を指標とした青果物品質評価技術の開発に向けて
第2部 鮮度保持フィルムP-プラスの開発事例
(2019年11月13日 12:10〜13:40)
本セミナーでは、鮮度保持の基礎から応用まで幅広く紹介する。
青果物の呼吸と鮮度保持メカニズムが理解でき、野菜、果実、キノコ、花などの開発事例に加え、最新の鮮度保持フィルムとして結露防止フィルム、防カビフィルムなどの知識も習得できる。
- 鮮度保持のメカニズム
- 青果物の呼吸
- 呼吸抑制の方法
- P – プラスの鮮度保持の仕組み
- 野菜の開発事例
- 果実の開発事例
- カンキツ類
- ブドウ
- リンゴ
- 柿
- 熱帯性果実 (バナナ)
- カット野菜の開発事例
- コンシューマー用 (千切りキャベツ)
- 業務用 (カットタマネギ)
- 花の開発事例
- 輸出の開発事例
- 新製品、開発品
第3部 青果物品質および鮮度の定量化技術
(2019年11月13日 13:50〜15:20)
青果物の品質・鮮度の評価基準は曖昧であり、主観的な手法に頼る傾向がある。本講座では、青果物の特性を考慮した有力な客観的鮮度定量化技術を、最新の研究成果とともに紹介する。
- 青果物品質・鮮度評価の重要性
- 青果物品質・鮮度に影響を及ぼす外的要因
- 青果物の鮮度保持・品質制御技術
- 青果物品質・鮮度の定量化技術 (従来法)
- 品質・鮮度評価の考え方
- 主な鮮度評価指標
- 水分・目減り・萎凋
- L – アスコルビン酸
- 硬度
- 細胞膜劣化
- 青果物品質・鮮度の定量化技術 (最近の研究例)
- インピーダンス
- 発現遺伝子
- 呼吸酵素
- メタボロミクスと機械学習を併用した定量化技術
- 鮮度定量化の現状と課題
第4部 プラスチックフィルムを使った鮮度保持技術と脱プラスチック問題
(2019年11月13日 15:30〜17:00)
近年、スーパーだけでなくコンビニエンスストアでも青果物を積極的に扱うようになり、一日でも長く品質を保つ技術は収益に直結する時代となった。今回は、プラスチックフィルムを使った鮮度保持技術について他社技術を含め違いを解説し、同時に昨今の脱プラスチック問題にどう対応していけばいいのかについても説明する。今後、包材を駆使してフードロスを取るか環境を取るかの難しい判断が必要となることが予想され、その考え方の本質を理解していけるような内容とした。
- 青果物包装の現状
- 3分の1ルール
- 賞味期限と消費期限
- 青果物販売の傾向
- 鮮度保持包装の市場規模
- 鮮度保持フィルムの種類
- 微孔フィルム
- 活性フィルム
- 無孔通気性フィルム
- 生分解性フィルム
- フードロスか環境か
- 世界的な環境政策の動き
- 国内での環境政策の動き
- 包装材はどう対応していけばいいのか
- おわりに
- フィルム包装以外の鮮度保持手法
- ハイブリッド思考