本セミナーでは、透明導電膜について取り上げ、高透過・高導電?高信頼性を有する透明電極を作成する手法について解説いたします。
また、曲面化、フレキシブル化に対応するための透明電極のトレンドについて解説いたします。
(2019年10月11日 10:00〜11:30)
(2019年10月11日 12:10〜13:40)
電化製品をはじめ、建物、自動車、工場に至るまで透明導電膜の市場は今後の成長が大いに期待されている。こうした幅広い用途での需要に応えるため、より簡易な方法で製造でき、多様な基材上に成膜できる透明導電膜が求められている。しかし、CNT透明導電膜の従来の製造技術では工程が多くプロセスが煩雑で、成膜できる基材も限られていたため、実用化には大きな壁が立ちはだかっていた。本講座では、実用化に向けた高透過率・高導電率・高信頼性を実現するCNT透明導電膜の開発について、我々の最近の成果を紹介する。特に、我々は最近、僅かな量でCNTの分散剤とドーパントの両方の機能を示す高分子酸を用い、CNTの分散液を基材に塗布するだけで高導電性のCNT膜を作製する革新的技術を開発したので、詳細について紹介する。
(2019年10月11日 13:50〜15:20)
タッチパネルやテレビ画面等に利用できる代表的な導電性プラスチックPEDOTは、透明なガラス表面などに塗布して電極として利用する研究が進められている。これまでガラスと剥がれやすいPEDOTとの接合強度を高めるため、別の有機材料であるPSSが助剤として混ぜられてきた。ところがPSSは絶縁性のため、電極の導電性を下げる原因となっていた。そこで、独自開発している多孔質層を持つガラス (HNLガラス) を用いることで、PSSを使わずにPEDOTとガラスを強固に結合させた有機透明導電材料を開発した。 現在、スマートフォンや液晶テレビ、有機ELテレビなどのガラス基板には、画像を制御する電極として無機材料のITOが広く使われている。しかし、構成元素の1つであるインジウムは希少金属 (レアメタル) であり、将来的な調達や価格面に改善の余地がある。さらにITOの成膜には真空装置が必要なため、製造コスト上昇の一因となっている。一方、有機材料は一般に安価な原料から容易に化学合成できる上、無機材料に比べて屈曲性が高いため、タッチパネルなどに用いた時に衝撃に強く、製品形状の自由度も高くなる。また、PEDOTの成膜は常温で、真空装置も不要である (通常の圧力環境で成膜可能) 。しかし、これまでのPEDOTの導電性は、同程度の光透過率を持つITOに比べて一般的に1~2桁低いものあった。今回、独自開発した多孔質層を持つガラス (HNLガラス) を用いてPSSを不要にすることで、導電性を従来のものに比べて約4倍に向上させた。 本講演では、開発した透明導電膜について、詳細に説明をする。
(2019年10月11日 15:30〜17:00)
透明導電材料への希求は「スパッタITO代替」から「スパッタITOに成し得ない特徴」へとシフトしつつある。その特徴の1つが「塗布」による製膜であると考える。本講座では、前半は塗布型透明導電材料の基本的な特徴、歴史、スパッタITO膜との特性比較について説明し、後半はマクセルが取り組んできたPEDOT系、ITO系の塗布型透明導電膜について、特性、製造プロセス、管理方法からデバイスへの応用展開までについて解説する。