全固体電池の界面設計とイオン伝導性向上

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プログラム

第1部 硫化物固体電解質の構造とイオン伝導メカニズム

(2019年9月27日 10:00〜11:30)

 硫化物系固体電解質のイオン伝導メカニズムを解明するための解析手法を概説し、主に第一原理分子動力学計算を利用した解析結果を紹介する。

  1. 結晶構造解析
    1. X線および中性子線データのRietveld法による結晶構造解析
  2. ガラスの構造解析
    1. 固体NMRによるホスト構造の構造解析
    2. ラマン分光によるホスト構造の構造解析
    3. 磁場勾配NMRによるLi拡散測定
    4. 緩和時間を利用したLi運動性評価
  3. 計算科学による解析
    1. 第一原理計算
    2. NEB
    3. BVS
    4. 第一原理分子動力学計算
  4. 構造解析例: Li7P3S11結晶
    1. 第一原理分子動力学計算による伝導パス構造の解析
    2. ホスト構造の運動性と伝導パスの関係
    3. 伝導Li種の分類
    4. 分極構造と伝導パスの関係
  5. 構造解析例: 70Li2S – 30P2S5ガラス
    1. ガラスのホスト構造と運動性
    2. 伝導Li種の分類
    3. 分極構造と伝導パスの関係
    4. 結晶とガラスの伝導機構の比較

第2部 全固体電池の界面抵抗メカニズムとその低減技術

(2019年9月27日 12:10〜13:40)

 民生用小型電池から電気自動車搭載用途などへの大型蓄電デバイス需要拡大に伴い、リチウム2次電池は世界で激しい研究・開発競争に晒されている。そのなかで、次世代型として期待される全固体リチウム電池が実用化されるためには高出力化という課題があり、電池部材間の界面抵抗を低減することがその課題解決の鍵を握っている。我々は全固体リチウム電池の界面抵抗低減に向けて、理想的なモデル薄膜電極を作製し、界面抵抗起源探索の研究を行っている。この基礎的な研究アプローチから、理想的な固体電解質/電極界面において、実用化されている液系電解質を用いたリチウムイオン2次電池を凌ぐ超低抵抗界面が形成できることを見出してきた。  本講座では薄膜を利用した固体電解質/電極間の界面抵抗低減技術を紹介する。

  1. 全固体リチウム電池の概要
    1. 全固体リチウム電池の近年の需要
    2. 全固体リチウム電池の構成と材料
    3. 固体電解質の特徴:液系電解質との比較
    4. 全固体電池の課題:高出力化に向けた取り組み
  2. 全固体リチウム電池高出力化に対する研究のアプローチ
    1. 全固体リチウム電池の薄膜化
    2. 薄膜作製技術
    3. 真空プロセス
    4. 清浄な界面を形成したモデル電極作製
    5. 固体電解質/電極界面抵抗の定量評価
    6. 超低抵抗界面を形成した高速充放電特性を示す全固体薄膜リチウム電池の作製

第3部 硫化物系固体電解質の構造解析とイオン伝導性の向上

(2019年9月27日 13:50〜15:20)

 本講座では、これまでのイオン伝導ガラスの開発研究において主流ではなかった金属硫化物Al2S3に着目し、いくつかの硫化物系イオン伝導ガラスの構造解析結果に基づいて設計・合成したNa2S – Al2S3ガラスのイオン伝導性について報告します。さらに、中性子と放射光X線を併用したガラスの構造解析も行い、ガラス中に発現したイオン伝導性と構造との関係性についても議論します。

  1. 研究背景
    1. 全固体Naイオン電池と固体電解質材料としてのイオン伝導ガラス
    2. これまでのNaイオン伝導ガラスの開発と構造研究
    3. 構造解析の結果に基づいたNa2S – Al2S3ガラスの開発指針
  2. Na2S – Al2S3ガラスの創製
    1. メカニカルアロイング法によるNa2S – Al2S3ガラスの合成
    2. 交流インピーダンス法によるNa2S – Al2S3ガラスの電気伝導度測定
  3. Na2S – Al2S3ガラスの構造解析
    1. 中性子・X線の散乱と二体分布関数解析の基礎
    2. Na2S – Al2S3ガラスの中性子・放射光X線回折測定
    3. Na2S – Al2S3ガラスの二体分布関数解析による短距離構造の解析
    4. 逆モンテカルロ法によるNa2S – Al2S3ガラスの3次元原子構造モデルの構築
  4. Na2S – Al2S3ガラスの構造とイオン伝導性
    1. 3次元原子構造モデルの解析によるNa2S – Al2S3ガラス中のNaイオンの存在環境
    2. Na2S – Al2S3ガラスのイオン伝導経路の解析
  5. まとめ

第4部 可塑性の固体電解質の開発と全固体電池への応用

(2019年9月27日 15:30〜17:00)

 世界的なエネルギー需要の高まりを受けて、高エネルギー密度蓄電池、燃料電池、太陽電池などの電気化学デバイスの開発が推進されている。高効率な電気化学デバイスの開発に不可欠な材料の1つに電解質が挙げられる。現状は電解質として電解液を用いているが、可燃性液体を含むため漏液や発火事故などの問題が生じている。電解液を固体電解質に置き換えることができれば、それらの問題を解消できる。さらに、電気化学デバイスの大型化に伴い、より安全な電気化学デバイスに対する社会的要請もあり、高性能固体電解質の開発は益々活発化している。  本セミナーでは、固体電解質の新たな候補として柔粘性結晶について解説する。

  1. 柔粘性結晶の基礎
    1. 柔粘性結晶とは
    2. 構造的特徴
    3. 合成方法
  2. 柔粘性結晶の評価
    1. 熱的性質
      1. 相転移温度
      2. 熱分解温度
    2. 結晶構造
    3. イオン伝導性
  3. 固体電解質としての柔粘性結晶
    1. リチウムイオン伝導体
    2. ナトリウムイオン伝導体
    3. プロトン伝導体
    4. ポリマー複合体
  4. 電池用電解質としての柔粘性結晶
    1. リチウム電池
    2. ナトリウム電池
    3. 燃料電池
    4. 太陽電池
  5. その他の応用
    1. ガス分離膜
    2. その他
  6. 総括

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